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読書日記1028

読んだ本

仲正昌樹『新装版 ラディカリズムの果てに』明月堂書店 (2016)

小坂井敏晶『矛盾と創造:自らの問いを解くための方法論』祥伝社 (2023)

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日記

 

『ラディカリズムの果てに』はほぼ読み終えた。

その後「教養とは結局のところ何か?それは何のためにあるのか?」と自省してみた。

答えが出た。

教養とは人類が残してきた遺産のことであり、それは不毛な争いや過ちを繰り返さないために存在する。

 

 

死者からのメッセージであり贈り物である。

「今を生きよ」

カルペディウム。

ネットで検索にかけてみたが「今日を楽しもう」という意味もあるみたいだ。

「楽しむ」の意味合いはそれぞれだが、「堕落しようぜ」と言っているのではないはずだ。

 

 

堕落。

人間は堕落しきって始めて得られるものがあると『堕落論』を解釈している作家がいた。

宮台真司氏の『崩壊を加速させよ』の意味を再度自省。

小室直樹はいまの日本危機は「アノミー」にあると書いた。

島田雅彦氏は『パンとサーカス』のなかで、日本は少なくとも5回、外圧に屈した。

白村江の戦い

「蒙古襲来」

南蛮人キリスト教の伝来」

「黒船襲来」

「連合軍による日本占有」

しかし何故か日本という国は消えない。

 

 

詳しいことは分からないが、秩序が一度壊れればまた復活する。

これが崩壊を加速させることによる救済か。

落ちきってようやく何かをつかめる。

 

 

ソ連崩壊以後、左翼という言葉は今日どれほどの意味合いを持つかは知らないが、日本政府をあの手この手で罵倒・批判する言説に対しては一歩引いて考えることが大切だと思わされた。

本書には左翼の自己矛盾がそつなく記述されている。

考えべくは相手の論理性である。

その論理の矛盾を突くのは教養の力である。

教養は一筋縄では身に付かない。

 

 

継続は力なり。

左翼的な本はインパクトがありすぎる。

受け売りは危険だ。

この世の全てを知ったかのような、高揚感を与えてしまう。インパクトある本は結局のところインパクトしか与えず実は中身がない。正確には読者を考えさせるきっかけ、もしくは批判精神を与える力が弱い。

 

 

では何をすべきか。

小坂井氏は矛盾の解きほぐしかたについて、このように述べた。

"矛盾の解き方は様々だ。矛盾にみえるのは現象の理解がまちがいだからかもしれない。" P67 (『矛盾と創造』)

 

小坂井氏はデータの値に固執することを避けているようにみえた。

むしろその値を認めたうえで矛盾の内部に斬り込む。

しかし二次方程式の公式のように便利な解法ばかりではない。

便利な解法ですらも覚えるのに多少の苦労を要する。

 

 

安易な解決法は少ない。

だからこそ長い時間をかけて力をつけなければならない。

 

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