2025-06-01から1ヶ月間の記事一覧
新・読書日記490(読書日記1830) – ラボ読書梟
ペトラルカ『無知について』読了+新・読書日記489(読書日記1829) – ラボ読書梟
メイ(深呼吸しながら):「今日は、お二人に“自由”というテーマで語っていただきたくて…まず、バートンさん、『消極的自由』からお聞かせいただけますか?」 バートン(紅茶を啜りながら):「もちろんです。消極的自由、すなわち『他者からの干渉がない状…
新・読書日記488(読書日記1828) – ラボ読書梟
夜の静寂を切り裂くように、すべての音が一音半、低く響きだした。書斎のフルートから漏れる滴る音さえも、一瞬にして♭6へと転じ、金属質で不安を孕んだゆらぎを帯びている。わたしはショーペンハウアー。ここしばらく音楽は“意志そのもの”と考えていた――だ…
パリの薄明かりの中、カフェ・ド・フロールの一角に集まった三人の姿があった。アルベール・カミュ、ジャン=ポール・サルトル、そしてジャンヌ。カミュは手にした論文をじっと見つめ、言葉を探している様子だった。 サルトルが口を開いた。「アルベール、君…
新・読書日記487(読書日記1827) – ラボ読書梟
その朝、私はふいに、死について考えていた。考える、というより、死がそこにあることを思い出しただけかもしれない。朝の光はやけに白く、キッチンの壁に小さな影を投げかけていた。何も起きていないが、すべてが始まっていた。 コーヒーの湯気を眺めながら…
新・読書日記486(読書日記1826) – ラボ読書梟
パリの六月。夜更けの空気は湿り気を帯び、遠くセーヌ川を渡る微かな汽笛が書斎の窓に反響する。 アルベール・カミュは机のランプひとつを灯し、ペンをテーブルに置いた。インク瓶の縁に指先を触れ、ひとの気配を確かめるようにその手を引いた。 「…逃げると…
新・読書日記485(読書日記1825) – ラボ読書梟
夜明け前の駅。ホームは空虚で、時刻表が掲げられた壁には、数字だけが凍りついていた。その“10 分の律動”が、ただ黙ってそこに在る。 僕は冷めた視線でそれを見つめていた。到来の合図もないのに、時間は静かに重力を増していく。それは、“無意味な核”とし…
新・読書日記484(読書日記1824) – ラボ読書梟
僕はアルコールの蒸気舞う夜の街角で、君の手のぬくもりを思い返しながら息を詰める。周囲の笑い声やざわめきは、まるで他人種の言葉のように耳に入らない。――僕には君だけが“正当なる交渉人”であり、その他すべてはただの侵入者だ。 外界の常識――友人の励ま…
浜松町の大学キャンパス。午後の講義が終わり、学生たちが帰路につく中、一人の教授が研究室のドアを開けた。高橋教授は、長年の研究と教育に従事してきたが、最近、ある問題に直面していた。それは、学生たちがホネットの承認理論を過度に単純化し、批判的…
新・読書日記483(読書日記1823) – ラボ読書梟
新・読書日記482(読書日記1822) – ラボ読書梟
️【登場人物】 ジャン=ポール・サルトル(S):実存主義者、自由と責任を重視。著書『存在と無』『嘔吐』など。 アルベール・カミュ(C):不条理哲学の詩人。人間は意味を求めるが、世界はそれを与えない。著書『異邦人』『シーシュポスの神話』など。 ---…
深夜、東京の片隅にある小さなカフェ。木製のテーブルに向かい合う二人の人物がいた。一人は若き倫理学者、佐藤真一。もう一人は、彼の師であり、哲学の巨星と称される田中教授。二人の間には、長い沈黙が流れていた。 「教授、私はどうしても納得できないん…
店内には商品も什器もない。ただ、びっしりと詰まった30人の従業員だけが、無機質に立ち並んでいる。だがそのぎゅうぎゅうの“密度”が、まるで空白そのものを主張しているようだった。息を吸っても、吐いても、音がどこかへ消えてゆく。彼らの呼吸だけがわず…
朝靄に包まれた寝室。彼の目は徐々に開き、枕元に散らばる原稿用紙が視界に入る。どれも真っ赤な訂正線や“再提出”の文字が、無残に躍っていた。昨夜もまた、締め切りに届かず、結局すべて捨てたのだ。コーヒーの冷めた香りが漂い、彼は手探りでマグを掴む。…
登場人物 1. 佐藤 健一(さとう けんいち) 役割:物語の中心人物であり、自由の概念に関する議論を牽引する哲学者。 特徴:理論的思考を重視し、自由の定義やその実践方法に深い関心を持つ。 2. 田中 美咲(たなか みさき) 役割:実践的な視点を提供する人…
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新・読書日記480(読書日記1820) – ラボ読書梟
銀座の書店街。夕暮れ時、街灯が灯り始めるころ、ある書店のショーウィンドウにひときわ目を引く一冊の本が並べられていた。金色の帯に「思考大全」と大きく書かれ、その下には「成長マインドセット思考」「メタ認知思考」「ファーストプリンシプル思考」な…
新・読書日記479 – ラボ読書梟
新・読書日記478(読書日記1818) – ラボ読書梟
新・読書日記477(読書日記1817) – ラボ読書梟
朝8時45分、東京都文京区の片隅にある喫茶店「珈琲 山河」のドアの前に、ひとりの老人が仁王立ちしていた。キャリーケースには、文庫本が100冊ぎっしり。取っ手が重みでしなり、車輪はもはや悲鳴をあげている。 「今日は…カフカで防御、三島で攻撃、司馬で補…
新・読書日記476(読書日記1816) – ラボ読書梟