はてなブログ大学文学部

読書日記と哲学がメインです(毎日更新)

新・読書日記641(読書日記1981)

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トルストイ『復活 上』読了+新・読書日記640(読書日記1980)

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身だけが切られ続けるリスク――権利が独り歩きする現場から

さっきまで読書のことを書いていたはずなのに、気がつくと頭の中はまた現場のことに引き戻されている。最近、とくに強く感じるのは、「権利」という言葉の独り歩きだ。虐待、セクハラ、パワハラ、モラハラ、スメハラ――「〇〇ハラスメント」というラベルのカ…

新・読書日記633(読書日記1973)

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新・読書日記632(読書日記1972)

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福子『逆さまの迷宮 下』読了+新・読書日記631(読書日記1971)

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週末に効くタレブ #3|バーベル戦略:中くらいの安心がいちばん危ない

つづきを展開 nainaiteiyan.hatenablog.com 名言(意訳):「超安全と高リスクの両端に張り、中間を避けよ」出典:『反脆弱性』 “ほどほど”はやさしく聞こえる。だが不確実性の世界で中リスクは、危険が見えにくい分だけ厄介だ。タレブのバーベルは、**90%…

週末に効くタレブ #2|引く力(Via Negativa)を生活の主語にする

つづきを展開 nainaiteiyan.hatenablog.com 名言(意訳):「良いものを足すより、悪いものを引くほうが効く」出典:『反脆弱性』 足し算は目に見える。アプリ、サプリ、会議、資格。だが複雑系では、加点は容易に相互作用し、ノイズと副作用を増やす。タレ…

週末に効くタレブ #1|身銭を切らない言葉は、風より軽い

名言(意訳):「自分の利害を賭けずに発した助言は、助言ではない」出典:ナシーム・ニコラス・タレブ『身銭を切れ』 助言はしばしば“正しさ”より“コスト”で評価される。報いも罰も受けない立場からの語りは、失敗の摩擦を持たないから増殖する。タレブはこ…

新・読書日記630(読書日記1970)

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新・読書日記629(読書日記1969)

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存在という言葉で全てを語った気になるのやめてもらっていいですか?

「存在」が便利すぎる。そう感じるのは、議論の終盤でこの一語が掲げられるたび、そこで追究の手が止まり、考えるべき諸条件や手続きや関係が霧散していくからだ。もちろん私は「存在論」を禁じたいのではない。むしろ基礎付けの試みとしての存在論は必要だ…

新・読書日記628(読書日記1968)

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新・読書日記627(読書日記1967)

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福祉と正義:就労支援から何ができるか

この問いを前にするとき、私はまず言葉を入れ替えたくなる。福祉は「欠けた人を支える」ことではない。アマルティア・センのケイパビリティ・アプローチに倣えば、福祉とは、人が「価値があると理由づけられる生」を実際に選べるように、〈できること〉と〈…

判断の主権

秋晴れの光はやさしいのに、画面の向こうはいつも急いでいる。タイムセールは秒を刻み、通知は呼吸を奪い、レコメンドはまだ名づけていない渇きを先回りして整列させる。いま必要なのは、世界を全否定する激しさではない。私たちの「判断の主権」を、せめて…

ドストエフスキー『死の家の記録』読了+新・読書日記625(読書日記1965)

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自由の二重奏――バーリンとセンをめぐる読書日記

アイザイア・バーリンの『自由論』を読んでいるとき、私はその思想の温度に、どこか「古典的な冷たさ」を感じた。彼が語る「自由」とは、干渉されない権利であり、狼の自由は小羊の死を意味する。この一節には、倫理的な緊張が確かに宿っている。だが同時に…

文脈読めない人間が多すぎるとか言いながら、切り抜き動画量産するのやめてもらっていいですか

つづきを展開 labo-dokusyo-fukurou.net この一文の中に、現代日本の言説空間のすべてが凝縮されている気がする。堀江貴文を筆頭に、インフルエンサーたちは口をそろえて「最近の人間は文脈を読めない」「言葉の意図を理解しない」「表面しか見ない」と嘆く…

ハイブリッドバグ社会としての日本

電車が遅れる。理由は「乗客の救護」。構内アナウンスは丁寧に繰り返されるが、列車の中では誰も声を発しない。スマホの画面を見つめる人々の表情には、怒りというより、うんざりした諦めが漂っている。たった一人の救護のために、数万人が足止めされる。そ…

可逆性功利主義と仕事

つづきを展開 nainaiteiyan.hatenablog.com 「まともな仕事をしろ」と吐き出した瞬間に、私はその言葉の向き先を疑った。否定したかったのは職業の尊厳ではなく、ふるまいの設計だったのではないか。正しくは「まともに仕事しろ」。人を断罪するより、手続き…

AIの可視性バイアス

「根拠はないけど学習はするAI」という逆説は、実はAIの欠陥ではなく、現代の知のインフラが採用している統治様式の露出である。統計的学習は、因果や検証を代替しない。ただし、大量反復を「じゅうぶんな証拠」とみなす近代以降の情報制度においては、反復…

形式主義・接客・人間

丁寧な接客をしてくれたお姉さんが、裏口で「マジ?」とこぼすのが聞こえた瞬間、私は透きとおったガラス越しの舞台を、ふいに袖から覗きこんでしまった観客になった。レジまでは温度管理された好意が流れ、声の抑揚は研がれ、語尾は丸められていたのに、扉…

Google Notebooklm活用のすすめ

公開データ『ケヴィン・ケリー著作選集』をAIに学習させマッピング化 ☆ここがすごい☆ すぐに要約してくれる。 図で整理してくれる。 ➡クリックするとテーマごとに詳しく解説してくれます 増大する無知 (The Expansion of Ignorance) のより大きな文脈におい…

今日のニュースです。ベーシックインカムが始まりました。

オープニング(0’30”)アナ(スタジオ)「こんばんは。トップニュースです。きょうから全国で“ベーシックインカム”の給付が始まりました。初回の入金はおよそ3,200万人。各地で申請不要の自動給付が進む一方、マイページのアクセス集中や詐欺の動きも確認さ…

哲学対話:福祉と自由

あなた: 今から持論を述べますが、800字以内で返してください。 福祉と自由経済について。 自由に競争することで市場は活性し、提供されるサービスの質があがることは疑いありません。インセンティブやモチベーションを考えると社会主義はあまり良い体制では…

読書梟は市場に出る——タレブ的投資メタファーとしての思索

I. 読書とは「非対称リスク取引」である 簿記一級は確実性への投資。次長は組織的安定への投資。だが読書梟は、「意味の非対称性」に賭ける投資家だ。誰も評価しない知を拾い上げ、市場が気づかぬ価値を抱え込む。それは一見、無駄であり、不確実であり、だ…

沈黙は「倫理の呼吸」である

あなたはこのエッセイから何を感じ取りますか。 法が遅いとき、人間は何を信じるか 行政の返事を待つ時間は、ある種の「法的な無音」の中にいるようなものだ。 こちらが送った文面は整いすぎていて、条文の裏づけも倫理的配慮も揃っている。だからこそ、沈黙…

タレブ×行動の倫理

ナシーム・ニコラス・タレブは、思索する人というよりも、行動する思想家である。彼の著書を読むと、そこに通底しているのは一貫して「言葉よりも行動を信用せよ」という姿勢だ。彼の世界では、真理とは理論の整合性ではなく、リスクを引き受けた行為の結果…

現代のうつ病=制度化された無気力

うつ病や適応障害がなぜ増え続けているのか――私はこの問いを、単なる医療統計の問題としてではなく、社会全体の精神構造の変化として捉えたいと思う。もちろん、精神科を受診することのハードルが下がったことは事実である。SNSやメディアがメンタルヘルスを…