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読書日記193

ラトン『国家 (上) 』岩波文庫のつづきを読む。200ページ弱まで読む。

 

nainaiteiyan.hatenablog.com

 

ソクラテスの話を聞いていた聴衆は、どうしても解決して欲しい問いがあった。

 

 

完璧なる不正が存在する場合においては、正義が無力になるかどうか。

つまり、あらゆる特権を与えられた人間がいると仮定すれば、その人間は正しいことをせずに悪いことをしてしまうのではないか。結局正義とは制度上やむを得ない形でしか存在しないのではないか、と。

 

 

この問いにソクラテスは答える。

小さい問題よりも大きな問題から考え始め、そこから小さい問題を考えるべきであると。

かくして最小国家について考察を開始する。

衣食住。

職人は3人いれば充分ではないか。

しかし、それでは足りない。病気になった場合1人欠ける。故に最小国家はもう少し必要になる。

ところがよくよく考えてみると、途方もない人数が必要になることが分かった。

かくして話は戦争にまで事が及ぶ。さらに、教育について考える必要があることが分かり、ついには善と悪の話に辿り着く。以上までが190ページまでの大まかな流れであった。

 

 

これはやはり「フラクタル構造」の原理が隠れていると個人的には思う。

マクロ的なことはミクロ的なこと。

 

 

 

「個人的なことは政治的なこと。」

ジェンダー問題の象徴となったこのフレーズも然り。

 

 

この壮大な物語は、実は単純で狭い世界の物語の部分であるという相似性に、驚きと興奮を再び感じた。

 

 

 

つづく