読んだ本
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日記
『スターリンの図書室』
読んだ順番に今日の感想とメモをアウトプットしたい。
一発目はこれを読み進めた。
特段印象的な箇所はなかった。ひとまず地道に読み進めて、本に関する記述があればメモを残した。
2年ほどメルカリでお世話になっているMさんの名言と重ね合わせた。
「権力、知性、良心。この3つ全てを満たす人はいない(意訳)」
スターリンに良心があったのかどうか。そうは思えない。彼はSSPL (国立社会政治図書館) の目録に含まれている5人を追放または処刑した。
"SSPLの目録は、(・・・)このうち五人(ジノ-ヴィエフ、ブハーリン、カーメネフ、ルイコフ、ロゾフスキー)は、スターリンによって追放もしくは処刑された。" P160 (『スターリンの図書室』)
さらに読み進めると、スターリンの読書の傾向が書かれていた。
若い頃は政治と哲学に没頭し、年を重ねるにつれて歴史を好むようになったことが分かった。
"イリザロフによれば、若い頃のスターリンはマルクス主義の政治学や哲学に没頭していた。" P165
また、ボリシェヴィキとニーチェの関係についても書かれていた。
"ボリシェヴィキはニーチェを「プチ・ブルジョア」「理想主義者」と決めつけ、公共図書館に著作を置くことを禁じた。(・・・)スターリンがニーチェを実際に読んだ証拠はない。" P162
著者によれば、他方でボリシェヴィキとニヒリズムには親和性があると語った。
本書を読む限り、ニーチェは少なくともヒトラーにも影響を与えたとされる。独裁者とニーチェ。何らかの共通点があるのかもしれない。
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『きつね』
なんとなく気になった一冊である。
ひとまずディストピア小説で知られる『われら』の著者、ザミャーチンに関する箇所をメモした。
"ザミャーチンはーーロシア帝国海軍で技師として働くかたわら、趣味として本を書いていたーー自らの迫害者にもっとも強い言葉を投げかけた作家である。ソ連出国の許可を求めてスターリン宛てに出した手紙(スターリンはマクシム・ゴーリキーの口添えに応えて出国を許可した!)には、こう書かれている。「真の文学は勤勉で従順な役人からではなく、狂人、隠遁者、異端者、夢想家、反逆者、懐疑論者から生まれる」" P16 (『きつね』)
スターリンはゴーリキーに対しては寛容だったのか。それは何故なんだろうと思ったが、そんなことを調べる術もなくひとまず書くだけ書いておいた。
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『こころは体につられて 上』
この本を読んでいたあたりから眠気が強くなってきた。
意識がハッキリした瞬間に見つめていた文章をメモした。
"国内の別の都市よりも、国が違っても大都市のほうが類似性が高い(ニューヨークの人びとはセントポールの人びとよりパリ [の人びと] のほうによく似ている)" P129
たしかにそんな気がした。
東京、パリ、ロンドン、ニューヨーク。
海外のほうは実際に行ったことはないが、人工的な空間という点、無機質な点、コンクリートで固められている点、直線的な構造という点では似ていると思われた。
"「見えるすべての物体はあたかもボール紙の仮面のようなものでしかない。」ーー『白鯨』(ホルト・ラインハット&ウィンストン社)、一六一ページ" P158 (『こころは体につられて 上』)
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『メディア論の冒険者たち』
ガブリエル・タルドがメディア論の古典という位置付けとなってきているということで、タルドに多少の興味を持っていた自分は少し読むことにした。
"モナドの「欲望」と「信念」という二つの力の作動とは、こうした行動の複雑性と不確定性を分析するための概念装置なのである。『経済心理学』をタルドが論じたのは、経済学が複雑な経済的プロセスを対象にしているにもかかわらず、非合理的とも言える「経済ー外部的な」ものを視野において「記号にすぎない貨幣の価値」の数量化という側面からのみ経済現象を扱っていると、そのことに対する批判であった。" P13 (『メディア論の冒険者たち』)
その昔、経済学は一切数式を使わなかった。ところがマルクス経済学以降、徐々に複雑化していく。
国が経済に干渉するようになってからは、もはやギャンブルとしか思えないような局面も見受けられるようになった。
自分は経済学に詳しくないが、コロナ禍のばら撒きによってインフレが世界的に起こっているというのが執行草舟氏の見解であった。ウクライナ戦争によるインフレが前者を覆い隠しているかのように報じている可能性について自分は過去に考えたことがあったが、結局はよく分からなかった。
苫米地氏がたまに「経済学は白人による白人のための学問だ」と言うが、可能性としてはゼロではないようにも思えた。
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『日本の美学』
執行草舟という思想家、実業家は今でも絶えず自分に影響を与えつづけている。
影響というのは、要するに問いである。問いを受け止め、じっくりと考え、日々仕事や読書に還元する。そのことの価値について考えさせられる本である。
"肉体大事なら人間は動物化するしかありません。肉体よりももっと大切なものがあるということを、人類はずっと言ってきているのです。それが歴史であり、文学であり、残ってきた人間の文化なのです。(・・・)実際、現代では過去の歴史上ではあり得ないほどの精神的なノイローゼとか自殺者が多い。ほとんどの家庭で、二人の子供がいれば、どちらかは自閉症です。" P39-40 (『日本の美学』)
自閉症のくだりについては納得いかないところもあるが、最近はADHDの子供が多いという話はよく聞く。
科学はこの現象、現実を物質の観点から分析する。
自分はそのことについて20代後半から疑問を持ちつづけている。
虚無主義とは、もしかすれば精神が空っぽのことを言うのではないか、そう感じた。
精神が空っぽというのは、本書の文脈に則せば愛がないという意味になる。
ドラマや恋愛で語られる愛ではなく、自らの命を削ってまで捧げる奉仕を指す。
自分は当然その領域に行くことはできないが、なぜ脆弱な若者が増えているのか、これは考えるに値するトピックでもある。
"仏教というのは、理論的に構築されているために、とても弱いのです。いざという時に力にならない。歴史的に見ても、仏教を信じた国は戦争が弱い。死にたくなければ死ななくても良い理屈が出て来るのです。しかしキリスト教は信仰が強いから逆です。キリスト教徒でない人間などは、殺したほうが良いくらいに思っています。だから戦争も強い。" P52 (『日本の美学』)
小林秀雄や三島由紀夫などの本を読んでいると戦後、戦前で日本人の価値観は多少変わりつつあると感じるときもある。
たかが50年、70年単位でコロコロ変わるものなのか。
社会とは。国家とは。考えるヒントとなる本であった。
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『生誕の厄災』
メモ
"沈んだ気分で省略的な物言いをするのが好きな人間は、どんな職業に就いても傑出する素質がある。しかし文筆家だけはだめだ。" P59 (『生誕の厄災』)
"月並みという要素をたっぷり含まぬような、真の芸術は存在しない。異様なものを、相も変わらず流儀で用いつづける人間は、たちまち飽きられる。異例なもので埋まった単調さほど、我慢のならぬものはないからである。" P60 (『生誕の厄災』)
"人間は、腐敗した政治体制の下でしか、息をつくことができず、大声では喋ることができない。だが人びとは、その体制の破壊に手を貸したあと、もはや打倒した体制を愛惜する能力しか持てなくなったとき、ようやくこのことに気づくのである。" P218 (『生誕の厄災』)
シオランのひとつひとつの言葉が、日々考えているであろうことがまとめて凝縮されているように感じた。示唆的な文が多い。
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『文学のプログラム』
最近は芸術のことについて考えることが多い自分は、芸術に関することをメモした。
"ちなみに、芸術には芸術的価値しかない、政治的価値などありはしないという議論は、芸術の使命がアジ・プロであるという主張と矛盾しない。(・・・)芸術は、ほかならぬ芸術的価値においてもっとも政治的に機能するのである。" P105 (『文学のプログラム』)
アジ・・・・アジテーション
プロ・・・・プロパガンダ
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『投壜通信』
BOOK・OFFに行くとたまに、こころから面白いと思える本に出会う。
この本は普段自分がやっていることを言語化してくれていて、また、自分と同じようなことをしている人間がいるという驚きでもあった。
"私にとって書店とは、記憶と連想のための装置なのだ。" P126 (『投壜通信』)
"問いが問いを呼び、導かれるように棚から棚へと歩きまわる。" P127 (『投壜通信』)
書店でしかできないことがある。問いの連鎖である。
ある問いを掲げて本屋さんに行く。そしてその問いを解くヒントとなりそうなコーナーに行く。立ち読みする。すると他にも必要な知識がどうやらありそうだと気づく。そしてその知識に関係のあるコーナーへと向かう。次も同じようなことが起こる。かくして問いはぷよぷよのように連鎖をつづける。7連鎖はさすがにないが、4連鎖くらいであればよくある。
自分はこれを「問いの立体化」と呼ぶことにしたい。
"事物についての観念と事物そのものをしっかりと区別することは、我々の心にとっていつもそうたやすいことではないのだ。ーーエリザベス・シューエル『ノンセンスの
領域』" P324 (『投壜通信』)
町から本屋が消えていくということは、この問いの立体化が消えるということと言えそうである。
自分はこの点において、どうしても電子書籍が生産性に大きく貢献し得るとは思えないのである。
つづく
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関連図書
知と知の繋がりの面白さを教えてくれた松岡正剛氏の本
他
松岡正剛『本から本へ』
松岡正剛『編集力』など
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執行草舟氏の本