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読書日記882

読んだ本

引用元:版元ドットコム

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日記

 

去年、自分は太宰治賞に応募した作品のなかで原理を問いただした。

世界がなぜそうなっているのか、いかにして今が存在しているのか。

「ontology」について考えざるを得なかった。

哲学上の自由意志問題を真剣に考えたとき、目の前にいる人々がある意味機械的な存在として立ちはだかったからであった。

 

・・・

 

青土社から出ている『世界をありのままに見ることができない』を少し読んでぞっとした。

デカルトの誤り: 情動、理性、人間の脳』の前半に紹介された、脳を損傷した男性の話を思い出し、よりいっそう自由意志などというものは幻想に過ぎないと思わざるを得なくなった。(誰かに操作されているというような強迫観念はないにせよ)

 

 

自由意志について突き詰めた先にあるのは間違いなく恐怖を超えた地獄である。

であるので、哲学の問題を安易に追うことは危険でもあることが分かった。

それでも知りたがるのが人間のサガであって、やはり迂回してしまう。

 

・・・

 

そもそも「リベラル」とはなにか。

本書ではベトナム戦争以後、「リベラル ≠ 人道的」という図式が成立してしまった政治的混乱が紹介された。

時間の都合上、九章「リベラル派はなぜ平等に気をかけるべきなのか?」を読み飛ばし十章「リベラルな国家は芸術を支援するべきか?」を読んだ。

 

 

結論としては、芸術の支援はパターナリズムだという反論と、エリート主義を生むということが書かれていた。

本書の問題提起は、「芸術を支援することの正当化はいかにして可能か」という哲学的な問いかけであった。

これはイコール文化への公共的支援、つまり公共財はいかにして正当化されるか、という問いでもあると感じた。

 

 

何事も量的な話、質的な話の双方を交差させ、統合的に考えなければならない。

非常に考えさせられた。

ただ単に経済効果だけに囚われていては人文学界隈は簡単に消されてしまう。

 

 

テクノロジーが人間よりも部分的に優位性を持ち始めた現代、宮台氏の本や複製技術と芸術について突き詰めたウォルター・ベンヤミンが考えたことを追う意義は強くなってきているように感じる。

 

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