熊代亨『健康的で清潔で、道徳的な秩序ある社会の不自由さについて』のつづきを読む。
第四章の途中まで読みすすめる。
全体としては、現代人はリスクにたいして神経質になっているのでは、という内容であった。
現代では「不健康=悪」という価値観が内面化されつつある。
著者によれば、統計学と生理学の発達によって健康状態が数値化されるようになったのはつい最近の話である。
現代という時代は人類が今まで一度も体験したことのない時代であることは、良い意味でも悪い意味でも言えるだろう。
例えば、出産という出来事は今も昔もリスクのあるものである。
歴史的に、出産という出来事には「死」というものが今よりも遥かに高い確率でつきまとっていた。
そんな大きなリスクがあったにも関わらず、戦後はベビーブームが起きた。
著者は、これはリスクにたいして良い意味で「鈍感」であったからでは、という見解である。
以下は個人的に思ったことを少し書きたい。
統計学や確率論が一般人にも広く行き渡り、人々はリスク計算を以前よりも確実に行うことができるようになったと思う。
ある程度国民が神経質になる事態を招いてしまったは、科学の進歩ゆえに必然的とも言えるのではないだろうか。
そんな現代にビジネスチャンスを見出した企業は、自転車事故の保険や休職保険等も商品化するようになった。
これを悪いとか良いとか判定する気はない。
ただ、中立的にそういう世の中になってきたのだな、という視点は持っておきたいと感じた。
つづく
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医療化に関する本
『誰も正常ではない:スティグマは作られ、作り変えられる』