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読書日記986

読んだ本

斎藤環『映画のまなざし転移』青土社 (2023)

中井亜佐子『<わたしたち>の到来 英語圏モダニズムにおける歴史叙述とマニフェスト月曜社 (2020)

引用元:版元ドットコム

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メモ

 

「政治的正しさ」の有限性

"これらが強要される場所 では、いたるところで矛盾と乖離が発生する" (『映画のまなざし転移』P233 )

(これら→政治的正しさ)

 

 

"無関心か暴力か。この構図はネットの炎上にもあてはまる。ネット情報は、知らなければ存在しないに等しい。しかし、急速に知られること(=拡散)は、ほとんど「炎上」によって起こる。なぜそうなるのか。おそらく強要された「PC」や「寛容性」は、倫理性よりは無関心につながるのだ。" (『映画のまなざし転移』P234 )

( PC = political correctness )

 

" ( マイノリティは ) 迷惑にならなければ存在してもいいという寛容性=無関心に。しかし、この種の無関心さは、ごくわずかな不正や迷惑が検出された瞬間に、激しく炎上し、攻撃性に転化するだろう。" (『映画のまなざし転移』P234 )

 

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日記

 

久々に斎藤環氏の本を読んだ。

精神分析全般に、とくにジャック・ラカンは個人的に嫌悪の対象でしかないが、映画批評を通して今日の現代社会に蔓延る矛盾に気づくことができないかと考えた。

 

 

考察を深めると行き詰まるので今日の段階では表面的なことしか考えが及ばなかったが、この本は宮台真司氏の『崩壊を加速させよ』と併せて読むことでより一層、社会の構造的欠陥について何かヒントが得られるように感じた。

 

 

マイノリティへの無関心というのはそもそも何故起こるのか。

炎上は強要された「寛容性=無関心」によって引き起こされると精神科医の斎藤氏は見ているが、これは分析すればするほどに底が見えないほど深い世界があるように思えた。

 

そうした世界については宮台真司氏のいう「存在論的転回」について考えることでわずかに捉えられるように思ったが、個人的には時間が足りなくそこまで手が回らないのが現状である。そういった仕事は学者にまかせて、私は個人的な使命感とともに自身の小説へ還元したい。

 

 

無関心は単に「無知」で説明できるか?と考えたがこれは否である。

そんな言葉で括れるほど社会が単純であるはずがない。

しかし、このような現状をある程度説明する言葉として「相互承認」「自由」「権利」「主体性」といったものが挙げられるように思われた。

かくして政治哲学、承認論などのトピックと接続されるわけであるが、個人の力量を遥かに超えた問題であり、さすがに書ききれないと思い自身の至らなさを痛感した次第であった。

 

 

自身がやりたいことは、論理では説明しきれないそのような複雑な世界を「目に見える世界」と「目に見えない世界」に分け、多くの深い問いかけを絶えず行い、弁証法的思考によって双方を統合させる試みである。

 

 

つづく

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