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読書日記356

リー・イーグルトン『批評とは何か:イーグルトン、すべてを語る』青土社 (2012年) を読む。

岩波文庫『文学とは何か - 現代批評理論への招待』の著者でもある。

肩書きとしては、マルクス主義批評家といわれるアイルランド系の哲学者である。

 

 

すべてインタビュー形式で書かれており、難解なものが多い批評書としては比較的読みやすいと感じた。

生い立ちの話からインタビューは始まり、両親と政治の関係や読書体験等について語り始める。

 

 

イーグルトンが若い頃は実存主義(主にサルトル)がある程度社会的影響力を持っていた。当時の学生には実存主義マルクス主義を統合させようと試みた人が多かったこと等を語る。

 

 

 

また、フェミニズム系統の批評者もマルクス主義者も、溝はあるもののお互い幸福の追求という点では一致していることを語る。イーグルトンはマルクス主義に依拠しており、マルクスの復興について語る。

 

 

近年話題となった『人新世の「資本論」』の著者である、脱成長論者の斎藤幸平氏マルクス主義を軸に理論を展開している。マルクスの影響力は今もなお力を帯びている。

個人的に、論文形式で展開されているマルクス系の本は読みづらく躊躇する。

そんななか本書はインタビュー形式であるので、マルクス主義者の心のうちを覗き込むにはかっこうの本ではないだろうか。

 

 

つづく