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読書日記と哲学がメインです(毎日更新)

2022-05-01から1ヶ月間の記事一覧

読書日記381

斎藤美奈子『中古典のすすめ』紀伊国屋書店 (2020年) を読む。 一度本屋さんでこの本に出会った。のちに読んでみたくなるものの、どこの本屋にも無い。 そんな日々がしばらく続いたが昨日ようやく再会。 本書は1960~1990年代にブームとなった様々な本が紹介…

読書日記380

太田昌克/兼原信克/高見澤將林/番匠幸一郎『核兵器について、本音で話そう』新潮新書 (2022年) を読む。 条約や憲法に関する知識に乏しいと実感し、読んでみることにした。 60ページ弱をざっと読んでみた。 内容としては、これまで世界には核に関するどんな…

読書日記379

仲昌正樹『<日本の思想>講義 : ネット時代に、丸山眞男を熟読する』のつづきを読む。 nainaiteiyan.hatenablog.com 講義第一回を読み終える。 本居宣長は日本の古典を丹念に読み解き、「やまとごころ」の思想にたどり着く。 丸山眞男は、本居宣長の描いた日…

読書日記378

仲正昌樹『<日本の思想>講義:ネット時代に、丸山眞男を熟読する』作品社 (2012年) を読む。 欧米の「パブリック」「プライベート」は、日本においては「公」「私」が相当する。 しかしながら、政治思想の専門家である仲正氏によれば、これは似て非なるもの…

意志の存在証明

こちらの本を読みながらノートに書いたことを書き残す。 nainaiteiyan.hatenablog.com 人はアリストテレスでいう「最高善」(『ニコマコス倫理学』より)に向かって行動をしている。 お腹が空いた⇒食べる。 喉が乾いた⇒水を飲む。 行動には自ずと「目的」と…

読書日記377

バーナード・レジンスター『生の肯定:ニーチェによるニヒリズムの克服』法政大学出版局 (2020年) を読む。 今までいくつかニーチェの著書をかいつまんでみた。 『悦ばしき知識』 『ツァラトゥストラ』etc. しかしながら、ニーチェの言っていることは難解で…

読書日記376

三木清『読書と人生』のつづきを読む。 nainaiteiyan.hatenablog.com 三木氏は新しい知識を吸収しつつも、古典を読むことで良書と悪書を見極める力をつけるべし、と説く。 個人的には、価格崩壊を起こす本はほぼ悪書と見ていいのではないかと考えている。 市…

読書日記375

リチャード・ローティ『プラグマティズムの帰結』ちくま学芸文庫 (2014年) と、 斎藤環『文脈病:ラカン・ベイトソン・マトゥラーナ』青土社 (2001年) を読む。 昨日、東京ディズニーシーへ行った。 約10年ぶりであった。 大学卒業以降は、「ディズニーラン…

読書日記374

檜垣立哉『ドゥルーズ入門』ちくま新書 (2009年) を読む。 帰りの電車でさくっと読む。 ポスト構造主義の論客ドゥルーズは何を論じたのか。何を考えていたのか。 序盤ではベルグソンの哲学との関連性について書かれていた。 時間と連続性。 時間を「流れ」と…

気晴らし

今日、ディズニーシーに行ってきました。 良い年して、ダッフィーのカチューシャを着け(^^; 久々にぼーっと、何もかも忘れ、はっちゃけてきました。 いやー、何が良かったのかというと、 働いているキャストの方が格好良かったんです。 物凄く忙しくても、と…

読書日記373

三木清『読書と人生』のつづきを読む。 nainaiteiyan.hatenablog.com 三木清は読書法について語る。 濫読 (らんどく) は読書の入口として重要である、と述べる。 しかし、濫読にハマり専門性を持たない人はディレッタンティズムだ、と語る。 多読は読書家の…

読書日記372

ビートたけし『新しい道徳「いいことをすると気持ちがいい」のはなぜか』幻冬舎 (2015年) を読む。 昨今の報道の自由度ランキングが低い日本において、忖度なしのビートたけしの言葉はストレートにこちらに向かってくる。 (2022年報道の自由度ランキング:…

仲正昌樹『FOOL on the SNSーセンセイハ憂鬱デアル』読了

こちらを読み終える。 nainaiteiyan.hatenablog.com 内容としては、誹謗中傷とのやりとりがメインであった。 タイトルはまさにその心情を表しているものと察する。 本書は2017年に出版されたものである。 2020年代はまだ始まったばかりだが、ふりかえれば誹…

読書日記371

仲正昌樹『Fool on the SNS-センセイハ憂鬱デアル-』のつづきを読む。 nainaiteiyan.hatenablog.com トマ・ピケティ『21世紀の資本』が日本でブームになった時に、仲正氏に対していろいろあった誹謗中傷に関する話が語られる。 当時のことはよく分からないが…

読書日記370

仲正昌樹『ポスト・モダンの左旋回 増補新版』作品社 (2017年) を読む。 本書は仲正氏が1998-2001年に書いた論考をまとめ、一度出版されたものを再度改稿したものとなっている。 本書によれば、1990年代前半、日本の思想界は閉塞感を抱えていた。 著者の感覚…

たまには本音で本について語る

最近は専ら政治や思想に関する本を読んでいる。 何故か。 危機感を感じるからである。 大げさかもしれない。 コロナが発生してから散々だった。 職場は今まで以上に張り詰め、パワハラも横行。 休職の果てに退職。 「科学的」という言葉に初めて疑いを持った…

核について

核を持つべきであるという論調が少しずつ増えていないだろうか。 今日、新書コーナーを立ち読みした。 たしか、新潮社の新書だっただろうか。 『核兵器について、本音で話そう』 勿論、断片的にしか読んでいないので批判はできない。 ただ、核兵器を肯定して…

読書日記369

斎藤環/与那覇潤『心を病んだらいけないの?うつ病社会の処方箋』新潮社 (2020年) を読む。 最近は斎藤氏と与那覇氏の本をいろいろと読んた。 nainaiteiyan.hatenablog.com 与那覇潤『知性は死なない:平成の鬱をこえて』 nainaiteiyan.hatenablog.com そし…

読書日記368

秋嶋亮『続・ニホンという滅び行く国に生まれた若い君たちへ-16歳から始める思考者になるための社会学』白馬社 (2019年) を読む。 旧名・響堂雪乃による続編である。 nainaiteiyan.hatenablog.com 本書は端的に、「なるほど」と思わせる。 点と点が結ばれる…

読書日記367

岡本太郎『原色の呪文』講談社学芸文庫 (2016年) を読む。 近代芸術やモダンアートを批評する。 岡本太郎による芸術論である。 冒頭には岡本太郎が書いた詩も掲載されている。 妙になっとくする詩があった。 夜は濃く甘いが、朝は夜よりももっと暗い。 私は…

読書日記366

三木清『読書と人生』のつづきを読む。 nainaiteiyan.hatenablog.com 哲学書をどう学ぶべきか、という章では哲学史の類いを読むべきではなく、一流の哲学者による本を読むべきであると三木氏は述べる。 教科書のように事実だけが書かれているものに精神性は…

読書日記365

小林康夫/石田英敬/松浦寿輝『フーコー・ガイドブック』ちくま学芸文庫 (2006年) を読む。 フーコーは個人的に、今注目している哲学・思想家である。 フーコーの分析対象は多岐にわたる。 本書によれば、フーコーが本を出すたびに事件となったとされる。 何…

読書日記364

松岡正剛『フラジャイル』ちくま学芸文庫 (2005年) を読む。 フラジャイルとは英語の [ fragile ] に相当するものであり、「弱い」「壊れやすい」といった意味を持つ。 松岡氏いわく、弱さに隠れている何かに興味を抱く時期があった。 世の中は「強さ」に焦…

読書日記363

仲正昌樹『FOOL on the SNS ーセンセイハ憂鬱デアルー』明月堂書店 (2017年) を読む。 読んでみると、仲正氏に寄せられた誹謗中傷とのやりとりや、金沢大学の内部事情に関する話が盛りだくさんであった。 著者はドイツ語の授業を担当していたが、注意すると…

存在と記憶、慣性の法則

外力が働かなければ物体は静止または等速運動を永遠につづける。 静止は永遠。 永遠にその場にとどまる。 部屋も同様に、様々な物が静止し、佇まっている。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ここで抽象的な話に…

読書日記362

三木清『読書と人生』講談社学芸文庫 (2013年) を読む。 三木清が生い立ちと読書体験を語る。 読書好きというのは、現代においても往々にして小説を好んで読むイメージがある。 三木清も同様に、入り口は文学であったと語る。 しかしのちに見切りをつけ哲学…

本棚と配列

ジャンル別や「あいうえお」順で並べられた本棚には生気を感じない。 いわば、機械的な存在。 小説は文庫サイズでだいたい10万文字とされる。 その中身はというと、「あいうえお」順で並べられたひらがなを、形式的でありながらも、ランダムに抽出され、配列…

言葉の不思議

固い・・・・力を加えてもしっかりとしていて壊れない 固める・・・固い状態にする 「自分はできる」 「自分は有能」 「自分は違う」 プライドが高い人は言葉で自尊心を「固める」。 心が「固い」。 そういう人は些細なことでは動揺しない。 攻撃を受けても…

現代のコンプレックス商法

整形や脱毛といった、コンプレックスを解消するためのビジネスはひとまず置いて、私は出版業界に蔓延っている(と思われる)コンプレックス商法についてさらっと言及したい。あくまで個人的見解。毎日欠かさず2店舗以上本屋に足を運ぶ私の個人的な体験を言語…

読書日記361

ジル・ドゥルーズ『フーコー』河出文庫 (2007年) を読む。 翻訳者によれば、フーコーの死後に出版されたものとされる。 また、私的な交流等については一切言及せず、ただひたすらフーコーの残した書物を批評する内容となっている。 文章は相変わらず難解であ…