岡本太郎『原色の呪文』講談社学芸文庫 (2016年) を読む。
近代芸術やモダンアートを批評する。
岡本太郎による芸術論である。
冒頭には岡本太郎が書いた詩も掲載されている。
妙になっとくする詩があった。
夜は濃く甘いが、朝は夜よりももっと暗い。
私は二重の意味で共感する。
「世界のニヒリズム」の章はいろいろと考えさせられる。
例えば柄谷行人氏は、現代において芸術は国家と資本の下に置かれるものとなってしまったという見方であった。
モダンアーティストは、芸術本来の価値と商品的価値との挟み撃ちに苦しんでいたと想像がつく。
美術史には詳しくないが、歴史的には様々な芸術運動があった。
時には政治と対立し、国家と対立。
そして資本と対立しているのがまさに現代ではないだろうか。
複製技術の台頭、ポストフォーディズム、グローバリゼーション。
ニヒリズムは商品的価値への否定でもあるように個人的には思う。
芸術作品が投資の対象となっている昨今。
芸術の終焉とは商品的価値が芸術本来の価値を凌駕したことの宣言なのだろうか。
素人ながらも、いろいろと考えさせられることはある。
岡本太郎の思想には、現代に蔓延る「虚構」を打ち砕く力が秘められているように個人的には思う。
つづく