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読書日記と哲学がメインです(毎日更新)

2022-03-01から1ヶ月間の記事一覧

読書日記193

プラトン『国家 (上) 』岩波文庫のつづきを読む。200ページ弱まで読む。 nainaiteiyan.hatenablog.com ソクラテスの話を聞いていた聴衆は、どうしても解決して欲しい問いがあった。 完璧なる不正が存在する場合においては、正義が無力になるかどうか。 つま…

読書日記192

プラトン『国家 (上) 』岩波文庫を読む。 「不正な人間は正しい人間に勝る」 という命題をめぐりトラシュマコスとソクラテスは議論をかわす。 ソクラテスはひとつひとつ丁寧に言葉の意味と性質を調べあげていく。 知恵のある人間の性質は、正しいことを行う…

読書日記191

『楽園への道』のつづきと、 『リヒテンベルク雑記帳』のつづきをよむ。 nainaiteiyan.hatenablog.com nainaiteiyan.hatenablog.com 「自分のやりたいことの反対をやれば、最後には上手くいく」という言葉が印象に残った。 これはいたってシンプルだ。 食べ…

『ビリーブ 未来への大逆転』を観る

昨日全部観終えたので感想を書きたい。実話をもとにつくられた映画である。 画像引用:映画.com http://www.eiga.com/movie/89008/ あらすじ 舞台は1970年代アメリカ。 ルース(画像右)は努力が実りハーバード法科大学院に合格する。 その後、夫の職の関係で…

読書日記190

マリオ・バルガス=リョサ『楽園への道』河出文庫(2017年)を読む。 哲学ばかりしていると頭が疲れる。 哲学のあとは小説を読むと身体が落ち着いていく。 長編はなかなか読みきれないが、この小説は今の自分と波長が合うのでもしかすれば最後まで読み通せるか…

読書日記189

池田晶子『メタフィジカルパンチ』のつづきをよむ。 nainaiteiyan.hatenablog.com 池田氏いわく、哲学は根本的に役に立たない。 自明であること (例えば猫が目の前にいる) を、何故そうなっているのかと問う営みだからだと。 資本主義において人々は、お金は…

読書日記188

ダニエル・C・デネット『自由の余地』のつづきを読み進める。 nainaiteiyan.hatenablog.com 人間の行動を完全に予測できるマシーンを想定する。 1時間後には何を考えその結果何をしているか分かるマシーン。 しかしそれは閉ざされた世界にのみ通用する。 つ…

社会のせいにする人は根本的な原因を知らない

何故ならその「社会」という言葉が意味することを本人はちっとも知らないからである。 社会という言葉で世の中を説明できるほど世の中は単純ではないだろう。 永山という死刑囚がかつて存在した。 全て社会のせいにして人を殺した。 そこまで僕は読んだ。あ…

社会が悪いと思うのをやめる

人がいう社会とは一体何を指すのだろうか。 その言葉は物質のみを含むのだろうか。 その社会という言葉は法律や制度を含むのだろうか。 その言葉は労働を含むのだろうか。賃金を含むのだろうか。 その社会という言葉は昨日亡くなってしまった人を含むのだろ…

読書日記187

池田晶子『考える日々』 その他数冊を読み進める。 nainaiteiyan.hatenablog.com 僕はどうしても矛盾を探してしまうタチである。 しかしながら、矛盾の無いひとはおそらくいない。 矛盾とは過去と現在の言明にズレが生じる、という意味では。 つまり、矛盾が…

読書日記186

池田晶子『考える日々』のつづきを読む。 分厚いのでいくら読んでも読みきれない。 nainaiteiyan.hatenablog.com nainaiteiyan.hatenablog.com nainaiteiyan.hatenablog.com nainaiteiyan.hatenablog.com nainaiteiyan.hatenablog.com nainaiteiyan.hatenabl…

反脳科学主義

という病に僕はかかりました。 脳に良いことに関する本が世に出てくるようになり、さらには認知心理学や社会心理学等を応用した行動経済学や、行動最適化を謳った本なるものも多発しています。 この時代の背景の裏のまた裏を探りたくなるのが僕のサガです。 …

読書日記185

埴谷雄高『死霊』 野崎六助『異端論争の彼方へ 埴谷雄高・花田清輝・吉本隆明』インパクト出版会(2013年)を読む。 「マルクス主義という神は死んだ」 ソ連の崩壊が社会主義の敗北の象徴として多く語られている。 しかしそんな時代に生まれた次世代の僕は思う…

視覚情報と形而上学

絵は音楽には勝てない。 絵は音楽ほど人々に涙を流させない。 人間の5感は視覚が大半で聴覚は10%ほどを占める。 にもかかわらず視覚は聴覚ほど感動を与えない。 精神という曖昧な言葉で語る前に、理性と本能に分解する。 人が音楽に感動するのは精神になん…

読書日記184

ガイ・オルトラーノ『「二つの文化」論争:戦後英国の科学・文学・文化政策』みすず書房(2019年) リヒテンベルク『リヒテンベルク雑記帳』作品社(2018年)を読む。 頭がなんとなく落ち着かない。 そんな時は小説か雑記帳が良いかもしれない。 リヒテンベルク…

読書日記183

後藤繁雄『アート戦略/コンテンポラリーアート虎の巻』光村推古書院(2018年)を読む。 ビジネスとアートを横断的に語る本である。 柄谷行人氏の指摘通り、現代アートは資本主義の「下」にあって、もはや作品の価値は金銭的な価値と等価になっている。 後藤氏…

読書日記182

池田晶子『私とは何か』のつづきと、 ティム・インゴルド『生きていること』のつづきを読む。 nainaiteiyan.hatenablog.com nainaiteiyan.hatenablog.com 池田氏は、世の飽くなきお金の追求に対して「この百年が勝負」と言う。 今日では「脱成長主義者」と揶…

読書日記181

池田晶子『私とは何か』のつづきと、 ヘーゲル『精神現象学』を読む。 nainaiteiyan.hatenablog.com 池田晶子氏は2000年前後に活躍していた人物であるので、当時の「バブル崩壊」「ITベンチャー」について書かれていることが多い。 バブル崩壊後に人々は「こ…

読書日記180

ティム・インゴルド『生きていること』左右社(2021年)のつづきを読む。 nainaiteiyan.hatenablog.com 人類学の本は哲学や心理学、社会学とはまた異質で新しい視点を提供してくれる。 時に哲学的な視点をも提供する。 例えば「石らしさ」を記述する際に、石と…

読書日記179

『数学に魅せられて、科学を見失う』のつづきを読み進める。 nainaiteiyan.hatenablog.com 暗黒物質の謎が解明されないじれったさを端的に本書のタイトルが表している。 オイラーの公式、エネルギーと質量の等価性にまつわる公式等、自然をうまく表現したあ…

読書日記178

ヘルマン・ワイル『精神と自然 ワイル講演録』ちくま学芸文庫(2014年) ティム・インゴルド『生きていること』左右社(2021年) を読む。 今年もいろいろな本を読んできたつもりではあるが、今のところ、やはり池田晶子氏の本だけが最も強力で心臓を貫く言葉を…

読書日記177

池田晶子『事象そのものへ!』トランスビュー(2010年)を読む。 <知識人>というトピックから本書は始まる。 「世紀末」 「マルキシシズムの終焉」 そして人は「生きる指標を見失った」と論じる知識人に対して池田氏は、「そんなもので生きる指標が失うという…

読書日記176

池田晶子『魂とは何か さて死んだのは誰なのか』のつづきを読む。 nainaiteiyan.hatenablog.com この本以外にも複数読んだが、最近は季節のせいなのか、精神安定剤 (悪名高きパキシル) のせいなのか、読書中に寝落ちしてしまう。 にもかかわらずやはり池田晶…

読書日記175

池田晶子『魂とは何か さて死んだのは誰なのか』を読む。 まず「信じること」と「考えること」の違いについて書かれている。 人はわからないから「考える」のであり、信じることは「わかったつもり」である、と。 ここで既におかしな点がある。 「わかったつ…

読書日記174

松岡正剛『宇宙と素粒子 千夜千冊エディション』を読む。 熱力学に関する情報が沢山詰まっている。 また、熱力学は宇宙を説明する際に重要な位置を占めているように見える。 そして、世はフラクタル構造の様相を呈するこの地球において、ミクロ的な現象は宇…

読書日記173

ラネカー『認知文法論序説』研究社(2011年)を読む。 久々に言語学に触れる。 意味とは何か。 僕はプラトン的な考え方を支持したい。 つまり、意味は数学的な法則と同様に、超越的なものとして人間の外部に実在する。 言葉というものを説明する時点で既にその…

読書日記172

『ヴァレリー集成Ⅲ』 『批評について』のつづきを読み進める。 nainaiteiyan.hatenablog.com nainaiteiyan.hatenablog.com 僕はヴァレリーの「美的無限」という概念が印象に残った。 例えば、食欲や睡眠欲は充足されるとともに消失するものである。 ところが…

読書日記171

柄谷行人『柄谷行人書評集』のつづきを読み進める。 nainaiteiyan.hatenablog.com 柄谷行人は、ポストモダン以降の芸術は国家と資本の下にあると述べる。 つまり、経済的価値を備えた芸術作品には必然的に芸術的価値も備わる。 その例として、経営難に陥った…

東京リベンジャーズを観る

本日、アマゾンプライムのエピソード24話分を全て観終える。(ネタバレなし) 画像引用:東京リベンジャーズ公式サイト http://www.tokyo-revengers-anime.com 東京リベンジャーズは、タイムリープをしながら未来を変えていく物語である。 タイムリープを扱っ…

読書日記170

ノエル・キャロル『批評について 芸術批評の哲学』のつづきを読み進める。 nainaiteiyan.hatenablog.com 本書を読めば「批評」と「批判」の端的な違いが分かる。 文学作品であろうと芸術作品であろうとそれは変わらない。 批評の形式は一様ではないが、批評…