はてなブログ大学文学部

読書日記と哲学がメインです(毎日更新)

2022-01-01から1ヶ月間の記事一覧

アマルティア・セン『不平等の再検討』(岩波現代文庫2018年)を読む

アマルティア・センの理論の骨格くらいは掴んでおきたいと思い購入。 こちらは読書日記とは別のカテゴリーに入れる。 読み込むには長い時間を要すると思われる。 スタンスとしては、最低限の要約はしつつも、そのとき思ったことを端的に記述していく形式を採…

読書日記55

こちらのつづきを読み進める。 nainaiteiyan.hatenablog.com その後はキケロ、アウグスティヌス、トマス・アクィナスとつづいていく。 キケロは奴隷でも正義は守られるべきであると主張する。 正義という力はどこまでも強力である。それは、山賊内においても…

読書日記54

こちらのつづきを読み進める。 nainaiteiyan.hatenablog.com ここでプラトン (+ソクラテス) とアリストテレスの「正義」の違いがハッキリした。 プラトンは善と正義、悪と不正が「分離不可能」であるとみなしたのに対し、アリストテレスはそもそも同一のもの…

読書日記53

キャス・サンスティーン『行動科学と公共政策』勁草書房(2021年)を読む。 こちらの本はわりとミクロ的で、ひとつひとつの事例を丁寧に扱っている。 ナッジに関する本が少ないので購入。(貯まっていたポイントでお得に買うことができた。) この本は読みやすい…

読書日記52

中山元『正義論の名著』ちくま新書(2011年)を読む。 正義に関する議論は今日、世界中で白熱しているようにみえる。 マイケル・サンデル氏は正義に関する本を頻繁に出している。 今年になって、ロールズ『政治的リベラリズム』という本も出た。 正義に関して…

大竹文雄『競争社会の歩き方』中公新書(2017年)読了

こちらを読み終えた。 nainaiteiyan.hatenablog.com 本書の骨格は前述の通りである。 後半部分の結論を軽くまとめて感想を書く。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 後半部分は格差と経済成長に焦点が当てられた…

一週間のまとめ2022 0122

今週も引き続き、健康的に過ごせて感無量です。 改めて思うのは、認知行動療法のおかげで大半のストレスをうまくかわすことができていると感じています。 nainaiteiyan.hatenablog.com nainaiteiyan.hatenablog.com nainaiteiyan.hatenablog.com nainaiteiya…

贈与と幸福

本書によれば、20ドルを自分で何かに使った被験者よりも、20ドルを寄付した被験者のほうが幸福度が高いことが実験で示された。 nainaiteiyan.hatenablog.com 本書のなかでさらりと触れられていたが、これはかなり重要なトピックではないだろうか。 近年では…

公理の功罪

古典経済は、人間は常に合理的に経済活動を行うことを想定していた。 ところが「常に」どころか、本人は合理的と思いながらも、実際はそうはならない事例が多いことものちに判明する。 公理の設定を見誤ると正しく理論が機能しない。 物理学では、ニュートン…

アウトプットして自己矛盾にひとつ気づく

こちらを書いて思った。 nainaiteiyan.hatenablog.com nainaiteiyan.hatenablog.com 競争が世の中の弱者を苦しめている、というのはイメージとしては成り立つのかもしれない。 ただ、前述した通り、世の中がどこまで競争というピースで埋め込まれているのか…

読書日記51

こちらのつづきを読み進める。 nainaiteiyan.hatenablog.com 本書の骨格がハッキリ見えた。 それは、競争によって「個」の特性が見えてくるということであった。 本書ではピース又吉氏の『火花』が紹介された。 漫才は激しい競争のなかで磨かれていくのであ…

自己矛盾に気付く方法

僕は「競争」「能力主義」「資本主義」を嫌う。 とはいえ、今ある豊かな社会がこれらの要素のみによって作られたのは間違いない。 しかし、これからも必要なのか、というのは多少議論されるべきだ。 豊かな社会にもかかわらず、相変わらず自殺してしまう方が…

考えるヒント35

結論のない断章、まとまりに欠けるが書き残しておきたいと思った文章をこのカテゴリーに納めていく。 客観的に記述可能な主観について ある人物の幸福度を測るとする。 心理学では、こういう場合、質問項目を複数設定し、点数化することで定量的に、かつ統計…

交換価値低下に伴う消費財におけるリスクヘッジの検討

タイトルをやや誇張して、アカデミックのように見せかけてしまった。 しかしながら、内容は非常に日常的でありふれた事例を扱う。 この記事が生まれたきっかけは、メルカリの取引を通じてあるアイデアが浮かんだためである。 買い物をより合理的に、かつクレ…

三浦瑠麗『日本の分断 私たちの民主主義の未来について』文春新書(2021年)読了

こちらのつづきを読み進めた。 nainaiteiyan.hatenablog.com この本は薄いものの、多角的かつ抽象度が高く、後半では議論が錯綜状態にも見えるほど、やや難解な本であった。 それでもなんとか重要な部分だけは汲み取れたように思う。 日本は先進国のなかでも…

夢の謎

夢には参加型と鑑賞型があるようにみえる。 参加型とは、今自分が思っていることを愚痴ったり意見を出すような言語のある夢だ。 それとは別の鑑賞型もあるようにみえる。 昔の懐かしい人物が出てきたり、昔の失敗が夢の中で再現されるような夢。 トラウマテ…

不安という病

目に見える世界は、おそらく目に見えない世界と比べるとわずかなものである。 ケインズは「100年後には4時間の労働時間で事足りる」と予言した。 実際生産力は世界中で向上し、もはや人は4時間の労働でも生きていけると思われるくらいに文明は発達した。 大…

読書日記50

こちらのつづきを読み進める。 nainaiteiyan.hatenablog.com 後半はポピュリズムについてアメリカと日本の比較が行われた。 結論としては、アメリカは「どんな政策なのか」よりも、「誰が打ち出した政策なのか」に揺さぶられることが言及されていた。 それに…

読書日記49

中野信子/荒川和久『「一人で生きる」が当たり前になる社会』ディスカヴァー携書(2020年)を読む。 特段新しい発見はないものの、ある一つの哲学的問いを見出す。 まず、哲学者マルクス・ガブリエルが、「結婚も消費の一つである」と発言した話が挙げられた。…

読書日記48

大竹文雄『競争社会の歩き方』中公新書(2017年)を読む。 この本を読むことはある意味苦痛でもある。 著者は今流行りの「行動経済学」の学者である。 冒頭からいきなり転売行為を論理的に擁護する。 可能な限り私的な感情を排除すると、著者の論理は妥当に見…

読書日記47

こちらのつづきを読み進める。 nainaiteiyan.hatenablog.com この本の特徴はマクロの視点から政治を分析していることにある。 提示されるデータは定量的なもので、かつ統計的手法によるデータである。 反対に、この前に読んだ山口氏の本はミクロ的な視点であ…

石川美子『ロラン・バルト』中公新書(2015年)読了

こちらの続きである。 nainaiteiyan.hatenablog.com ロラン・バルトに関する本は、今日でも複数の著書が書店に置かれている。 『モードの体系』『恋愛のディスクール』等 しかし、やみくもに手を出しても到底理解できるものではないと僕は感じてきた。 そん…

物々交換という幻想

グレーバー『負債論』の第二章の中盤まで読み進める。 (非常にボリュームのある本なので、誤りを発見次第、訂正をしていく。60点をとり続ける気持ちで800ページを読み込んでいく。) nainaiteiyan.hatenablog.com 貨幣はいつ作られたのか?という問いに対し、…

読書日記46

三浦瑠麗『日本の分断 私たちの民主主義の未来について』文春新書(2021年)を読む。 この前に読んだ山口氏の『リベラルという病』で学んだアメリカの二大政党の予備知識があったため、それが理解を手助けするものになったと感じてる。 nainaiteiyan.hatenablo…

読書日記45

石川美子『ロラン・バルト』中公新書(2015年)を読む。 僕がこの本に関心を持った主な理由は、上野千鶴子氏の著書に時々ロラン・バルトのお話が出てきたためであった。 (こちらにも↓) nainaiteiyan.hatenablog.com 僕の見立てでは、上野氏が女子高校生を「記…

山口真由『リベラルという病』新潮新書(2017年)読了

こちらの続きである。 nainaiteiyan.hatenablog.com 薄い本ではあるものの、中身は非常にボリュームがある。 もし二回目を一読する機会が今後あれば、また違った印象を抱くかもしれない。 ・日本のリベラルとアメリカのリベラルの違い アメリカでは共和党と…

デヴィット・グレーバー『負債論 貨幣と暴力の5000年』を読む

本日より、グレーバーの『負債論』を読み進めていく。 このグレーバーといえば、2020年に岩波書店から出版された『ブルシット・ジョブ クソどうでもいい仕事の理論』が有名だ。 その解説書にあたる、講談社新書のものは以前に書評を書いた。 nainaiteiyan.ha…

読書日記44

山口真由『リベラルという病』新潮新書2017年を読む。 リベラルという言葉の意味がアメリカと日本では大きくずれていることを教えてくれる。 僕が今興味のある分野である。 日本ではジェンダーに関して。せいぜい「LGBTQ」の5種類が常識となっている。 それ…

「社会貢献」を哲学的に考える

この記事は、今僕が思っていることに対して、明日以降の自分がどう感じるのかを試すために書き残す。(約1500文字) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ・客観と主観を分ける まず大事なことは客観的に認められる「…

小川淳也/中原一歩『本当に君は総理大臣になれないのか』講談社新書2021年読了

こちらのつづきである。 nainaiteiyan.hatenablog.com 第四章の後半以降は今後の小川氏の進退に関するお話であった。 特段、まとめる内容はないので、感想を書いてこの本に関する記事は終了にしたい。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー…