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読書日記337

達也『定点観測:新型コロナウイルスと私たちの社会<2021年後半>』評創社 (2022年) を読む。

アベノマスク等を含め、政治に対する批判が炸裂している。

常日頃から政治を監視するのは必要だが、批判をいくら繰り返しても状況が好転しているようにみえない。

一国民として、革命とまではいかなくとも、それに匹敵するくらいの転向が必要ではないだろうか。

 

 

斎藤美奈子氏はコロナ禍に関するノンフィクションや小説を紹介してくれた。

また、武田砂鉄氏は社会学者の古市氏の持論を引用しながら政治に対する批判を展開。

個人的には斎藤氏と同様、コロナ関連の批判にはうんざりしている。

状況を一変させる核心的な代替案を世に送り出す人は現れてこない。

 

 

そんななか、哲学の視点から世を俯瞰する仲正氏の評論は読みごたえがあった。

社会人類学者ラトゥールの「アクターネットワーク理論」を紹介しながら世を斬る。

アクターとは「行為主体」を意味し、新型コロナがアクターになていると指摘する。

つまりは、変異するたびに世界は右往左往されているということであった。

未来はアクターが「AI」になる可能性について指摘する。

 

 

また、「健康ファシズム」という言葉を用いて、人権が軽視されていることも指摘する。

中国では上海が強制的に隔離された。

テレビでは住民の食料問題が報道された。

人命を最優先することには同意するが、視野狭窄になっては本末転倒。

 

 

2021年は誰にとってもいろいろと考えさせられる一年であったことは間違いない。

 

 

つづく