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読書日記と哲学がメインです(毎日更新)

2022-01-01から1ヶ月間の記事一覧

読書日記71

こちらのつづきを読み進める。 今回は第三世代と呼ばれるアクセル・ホネットの『正義の他者』を取り上げる。 nainaiteiyan.hatenablog.com ホネットはハーバーマスの「討議倫理」を高く評価した。 しかしながら、それでは具体的に正義を考察できないと指摘す…

読書日記70

こちらのつづきを読み進める。 今回はフランクフルト学派第二世代と呼ばれるハーバーマスを取り上げる。 nainaiteiyan.hatenablog.com ハーバーマスはロールズの『正義論』を高く評価した。 道徳的な義務から行為をするのではなく、自己の利益を考えて考察す…

読書日記69

こちらのつづきを読み進める。 今回は『実力も運のうち 能力主義は正義か?2021年』で有名なマイケル・サンデル氏をとりあげる。 (※この本は2011年に出版されているので、対象は『これからの「正義」の話をしよう』になる) nainaiteiyan.hatenablog.com サン…

読書日記68

つづきを読み進める。 金沢大学教授、仲正昌樹氏の『現代哲学の最前線』NHK新書(2020年)によれば、世界の流れとして、今の哲学は大きく分け、 ・正義論 ・承認論 ・自然主義 ・心脳問題 ・新実在論 この5つであるとした。 前回の記事から最後に至るまで、こ…

読書日記67

こちらのつづきを読み進める。 nainaiteiyan.hatenablog.com 今回はノージックの正義観をまとめる。 ノージックはロックの自然状態からスタートさせ、どのような国家体制が最も正義にかなっているのかを考えた。 まず、市民は労働によって生産した財を守るた…

本日の読書ふりかえり1月25日

この一ヶ月は政治と経済、そして政治哲学を中心に本を乱読してきた。 それに付随するかたちで、様々なジャンルの本も巻き込んできた。 渦の中心は好奇心そのものであり、そこにはぼんやりとした正義感もある。 『正義論の名著』の読書体験から、僕は正義の多…

読書日記66

ヒラリー・バトナム『事実/価値二分法の崩壊』法政大学出版局(2006年)を読む。 いよいよこの本にも高い関心を持てるようになった。 第三章からはアマルティア・センやプラグマティズムの代表格、デューイなどが登場する。 この章では経済学、倫理学、そして…

ミッチェル・イネスを無視した経済学者

第二章の終わりまで読み進めた。 前回は中途半端に終わってしまった。 こちらのつづきを読み進める。 nainaiteiyan.hatenablog.com P62によると、あらゆる証拠資料が、ほとんどの取引は「信用」によって行われていたことを示している。 貨幣ではなく、あくま…

読書日記65

こちらのつづきを読み進める。 nainaiteiyan.hatenablog.com 今回はロールズ『正義論』をまとめる。 ロールズは、人々を道徳的でかつ合理的に行動するものと想定し、「どういう社会体制であれば正義が実現するか」を考えた。 もうひとつの言い方をすれば、「…

はらだみずき『海が見える家』小学館文庫(2017年)読了

こちらを読み終えた。(ネタバレ一切なし) nainaiteiyan.hatenablog.com 人生に行き詰まった時に、何かヒントが掴める本だと感じた。 僕は今、やりたいことをやっているつもりではあるものの、それが正しい道かはわからない。 ただ、後悔は絶対しない自信はあ…

読書日記64

こちらのつづきを読み進める。 nainaiteiyan.hatenablog.com 今日はベンヤミン⇒ハイエクの順で読み進める。 ベンヤミンは暴力について論じた。 合法的な暴力、そうでない暴力。そこまでは良いとして、そこから神話を持ち出して説明を行う。 「神的な暴力」「…

カフェの過ごし方

雑記カテゴリーを作りました。 記事が読書と哲学中心であるために、僕の人物像が見えにくいのと、ずーっと読書ばかりしているような、真面目で堅苦しい印象を与えるのではないかと思い、人間性を醸し出せるカテゴリーを作ってみるのも悪くないと考えるように…

読書日記63

こちらのつづきを読み進める。(ネタバレ一切なし) nainaiteiyan.hatenablog.com 135ページほどまで読み進める。 相変わらず父親がどんな人物であったか不明。 そろそろ小説は折り返し地点。これはいっきに展開が進んでくパターンか。 内容に関してはネタバレ…

本日の読書をふりかえる

アマルティア・センの『不平等の再検討』は、なんとか読み通すことができそうな本であると感じる。 この、読めなさそうで実は読めるのではないか、というギリギリの本が一番知的興奮を高めると感じている。 哲学書は残念ながら、意味不明な本が数多にあり、…

Googleアドセンスはじめます

これから記事のなかにスポンサーリンクが貼られることになります。 私は障害厚生年金とメルカリのわずかな収益とともに暮らしている身です。 さすがに限界が来ました。 今日に至るまで、 最小限の生活費で最大限の幸福を目指すべく、2年以上思考を働かせてき…

読書日記62

はらだみずき『海が見える家』小学館文庫(2017年)を読む。 1万円選書の岩田氏がお勧めしていたので購入。 nainaiteiyan.hatenablog.com スポンサーリンク (adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({}); ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー…

予算集合とケイパビリティ 『不平等の再検討』を読む 其の四

こちらのつづきを読み進める。 nainaiteiyan.hatenablog.com 成果と所得には相関がある。 しかし比例関係にはない。 それは個人の性格、性質、体質など、無数の変数が存在しているからである。 センは成果と所得の接着剤的概念として、予算集合とケイパビリ…

読書日記61

こちらのつづきを読み進める。 nainaiteiyan.hatenablog.com ヘーゲル⇒マルクス⇒ニーチェの順番で進む。 この3人は哲学史のなかでも大きなウエイトを占めると思われる。 わずか1000文字弱の記事にはまとめらるものではないものの、とりあえずざっくりまとめ…

読書日記60

こちらのつづきを読み進める。 nainaiteiyan.hatenablog.com 今日はベンサムとミルの功利主義について読んだ。 最大幸福。 よくみると、その幸福とは「快楽」であった。 つまり、単なる快楽主義者なのだろう。 快楽の極にあるのは「苦痛」。 かくして快楽ー…

柳美里『人生にはやらなくていいことがある』ベスト新書(2016年)読了

こちらの本でお勧めされていたので購入。 nainaiteiyan.hatenablog.com 僕はいつも、読み終えたときにタイトルの意味を考える。 今回はどうだろうか。 この方は過去に高校の退学や自殺未遂を経験している。 それでも「後悔はない」と言う。 それはどういうこ…

所得を自由に変換する能力及び自由度の検討 『不平等の再検討』を読む 其の三

こちらを読み進める。 nainaiteiyan.hatenablog.com センは経済学者の論理的欠陥を指摘する。 実践的な観点から分析をする際に、経済学者はどうしても単純化かつ容易にしてしまう傾向があるのだと言う。 所得と自由は単純な直線関係にあるのではない。 得ら…

何が不幸を生産するのかを検討

僕が「幸福」と「人生」を考える際に未だに忘れられない言葉は、 『夜と霧』の著者、フランクルの言葉である。 「人生はどんな状況にも意味がある。」 この言葉が綺麗事に聞こえる場合、それは何を暗に意味するのか。 アウシュビッツでを最後まで生き延びた…

幸福の平等は何と結び付くのか

富の平等、機会の平等と、平等にはあらゆる変数がある。 しかし、それらの上位にあるのは幸福の平等にもみえる。 富が富自体に何か意味はあるのだろうか。 機会が機会自体に何か意味があるのだろうか。 つまりは、最終目的としての幸福というものを想定して…

哲学的思考実験

完璧な人はいない、という言葉はいくらでも聞いてきた。 では問う。 完璧な価値観の組み合わせは存在するのだろうか。 人間とは価値観の組み合わせ、という表現は適切だろうか。 これは何を意味するのか。 完璧とはなにか。 そもそも、その言葉自体に矛盾が…

『不平等の再検討』を読む 其の二

こちらを読み進める。(終わる気がしない) nainaiteiyan.hatenablog.com 議論の出発の仕方、それは正しい質問の設定である。 1、「なぜ平等でなければならないのか」 2、「何の平等か」 センによれば、2をうまく論じることができれば、1をわざわざ掘り下げる…

前田英樹『独学の精神』ちくま新書(2009年)読了

こちらを読み終えた。 nainaiteiyan.hatenablog.com 著者は大工さんが家を建てる姿を見るのが好きみたいである。 大工さんの学びかたは学校の教育とは真逆てあるとする。 見習いは何も指示を与えられない。そして立ったままでも怒鳴られる。 なにかしないで…

読書日記59

こちらのつづきを読み進める。 nainaiteiyan.hatenablog.com 今日読んだ部分ではパスカルや本居宣長についてかかれていた。 パスカルといえば『パンセ』の「人は考える葦である」が有名である。 学を究めれば究めるほど、その限界が見えてくる。 著者は、あ…

読書日記58

こちらのつづきを読み進める。 nainaiteiyan.hatenablog.com マキャベリ、ホッブス、スピノザ、ロック、ルソー、カント、ヒューム、アダム・スミスとつづいてく。 カントまでは土台が「自然法」にあり、自然状態について様々な考察が行われていることがわか…

読書日記57

ジュディス・バトラー『欲望の正体』堀之内出版(2019年)を読む。 眠りの前の一時。この時間には厳しすぎるほどに難関な本であった。 欲望の正体は主体の複数性にある、ということが訳者解説に書いてあったのだが、さっぱりわからない。 ヘーゲル、スピノザ、…

読書日記56

前田英樹『独学の精神』ちくま新書(2009年)を読む。 二宮金次郎と教育について語られる。 堅い本ではなかった。むしろ反骨精神に溢れるエネルギッシュな本である。 著者は学生時代から教育の陳腐さに辟易していた。 皆同じ本を手に取り、皆同じ指標で評価さ…