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『善と悪のパラドックス』第二章

ちらのつづきを読み進める。

 

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人類学者によるフィールドワークが明かしたのは、人間はチンパンジーよりも、ボノボよりも攻撃性が低いことであった。

 

しかしながら、攻撃性は低いものの、戦争においては類人猿を遥かに上回る残虐性を示す。

第二章は人間の攻撃性について脳科学から考察する。

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人間の攻撃パターンには2種類あるとされる。

・「反応的攻撃性」・・・衝動的な暴力

・「能動的攻撃性」・・・計画的犯行

 

 

容疑者に認められる性質

大脳辺縁系のネットワークが活発

→感情の起伏が激しい

セロトニン受容体濃度が低い→反応的攻撃性が高くなる

扁桃体が不活発→能動的攻撃性が高くなる

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厳密には統計できてはいないが、犯罪においては明らかに「反応的攻撃」のほうが多く占めるという。

 

 

サイコパス」とは、能動的攻撃性の高い人物を指す。

扁桃体は感情の抑制に関わる。つまり、不活発であると道徳的なブレーキが効かず、計画的な犯行が行われる可能性が高くなる。

 

 

攻撃性は男性ホルモンの「テストステロン」の濃度やセロトニン受容体の濃度など、生理学的な要素が関わる。男性は女性より男性ホルモンの濃度が高いゆえに攻撃的になりやすいのは脳科学的に説明が付く。

 

 

しかしかながら、何によって扁桃体の活動が不活発になるのか、なぜサイコパスは生まれるのか、何故感情の起伏が激しいのかを「社会的」なレベルから説明するのは難しい。

遺伝と環境の区別が難しいのは『格差という虚構』においても指摘されている。

 

 

以上が二章のまとめである。

余談ではあるが、新幹線殺傷事件における小島氏は「能動的攻撃性」が高いことは間違いなく、サイコパスに分類されると思われる。

つづく

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