こちらのつづきを読み進める。
ホモ・サピエンスがネアンデルタール人より優れている点は「協調性」と「社会的学習能力」の二点とされる。
その協調性は「寛容性」によって影響を与えられているという証拠は存在する。
しかしながら、いずれにせよ反応的攻撃性がなぜ、どのようにして淘汰されたのかを説明することはできていない。
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ダーウィンはそれに対して、「処刑仮説」を立てた。
処刑制度が人間の利己的性質を抑え、人間の反応的攻撃性を淘汰したのだと。
著者は矛盾していると指摘する。
ダーウィンは一方で、人間の交配に関わる性質は長らく無意識によって抑えられなかったと示している。
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ダーウィンの処刑仮説は魅力的であったが、今日では「偏狭な利他主義仮説」と呼ばれる。
協調するメリットが、攻撃するメリットを上回るという考え方である。
しかしながら、チンパンジーや人間の狩猟民族ではこの仮説に反していることから、根拠はない。
現時点ではヒトに見られる普遍的な性質とは言えないと著者は言う。
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アレクサンダーという学者は「評判仮説」というものを立てた。
評判が道徳に影響を与えるという考え方である。
著者は「評判を全く気にしない暴君」にとって「評判」とはどんな意味を持ち得るのかを考える。
そして、その暴君を止める最終手段は「処刑」しかないとする。
八章ではその詳細を検討する。
つづく