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読書日記1104

読んだ本

リチャード・O・プラム『美の進化』白揚社 (2020)

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日記

 

本書ではまず、筆者が主流の進化生物学の考えと異なっていることが述べられている。

内容としては、主流といかに違うのかが述べられていく構成となっている。

50ページほど読み進めた。まずは筆者の生い立ちから話が始まり、ダーウィンの進化論などの基本的な話が書かれていた。

 

 

本書を読んでいくにあたっては、自然選択と性選択の概念を明確に理解しておくことが大事だと思われた。

前者は環境に適応できるかどうかの概念であり、後者はパートナーからの選別に適応できるかどうかの概念ということであった。

 

 

・・・

 

ダーウィンは「クジャクの尾羽を見ると気分が悪くなる」と言っていたそうである。

筆者がいうには、自然選択では説明できないことがこのクジャクの尾羽に象徴されるのだという。つまりダーウィンを悩ませる種子であった。

ダーウィンは自然選択だけでは説明できないことがある事実に気づいていたのだそうである。

 

 

"ダーウィンは『人間の由来』で、自然選択は生物界にみられる装飾の並外れた多様性を十分に説明することができないので、進化を推し進めているのは自然選択だけではないだろうと述べている。" P28

 

 

では現代の進化生物学者たちの、この尾羽に関する見解はどのようなものだろうか。

それは21項に書かれていた。

 

"ほとんどの進化生物学者は当時も今も、性的装飾や誇示行動が進化したのは、それらがつがい候補の資質と状態について、偽りのない明確な情報を示すからだと考えている。" P21

 

 

筆者はこれを「正直な指標仮説」と呼んだ。マッチングアプリのプロフィールのようなものだとも語っていた。

 

 

自分は『進化が同性愛を用意した』を読んだおかげで、進化生物学の世界の広さを体感することができた。

すぐに以下の疑問がわいた。

・性選択は両性具有のある生物にとって、もしくは両性愛を持つ生物にとってどんな意味があるのか?

・両性具有のある生物にとっての「美」と、そうでない生物との「美」にいかなる差異が認められるのか?

 

 

あまりに壮大な世界であるが、この本は端的に面白い。

重厚で多くの集中力を必要とするが、本書もまた多くの視点を与えてくれるに違いない。

 

つづく

 

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