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リチャード・ランガム『善と悪のパラドックス : ヒトの進化と<自己家畜化>の歴史』NTT出版(2020年)読了

ちらを読み終える。

著作権の関係で、全ての章を要約することは控えることにした。

ただ、いままでの要約は全て自分の言葉で簡潔にまとめて書いているので、本書の「全て」を物語ることではないことに留意して頂きたい。

 

nainaiteiyan.hatenablog.com

 

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戦争の章では、「条約」によって戦争のルールが変更されてきていることが言及された。

また、戦争の犠牲者も長期的にみれば減ってきている。

しかしながら、「性善説」を信じきることも危険である。

著者が指摘するように、ルソーの主張に完璧に従えば、理想は「無政府主義」に陥る。

 

 

3000年も経てば進化生物学的に、人間の脳になんらかの変化は起きる可能性があるとされる。

自己家畜化がどこまで進んでいるのか、これからどうなるのかまでは説明できないと著者はいう。

 

 

生物学的「決定論者」の学者たちは、戦争は避けられず、遺伝子レベルで人間はどうにもならないと悲観視する。

著者は、人類の物語が良い方向に傾く証拠はいくらでも存在すると否定する。

僕もそれを信じたい。

 

 

 

人々が分断するのは良くないかもしれない。

しかし、全体主義のように結束しすぎるのも危ない。

 

 

善と悪は量子と似ている。

善でもあり悪でもあるのが人間。

その人間は量子レベルで構成されている。

 

 

その量子はまだ未知の領域であり、宇宙の仕組みもほとんど分かっていない現代科学。

最も危険なのはやはり「思考停止」であり、「思考停止社会」である。

考えることが人間であるのだから。

 

 

つづく