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読書日記と哲学がメインです(毎日更新)

読書日記1023

読んだ本

島田雅彦『君が異端だった頃』集英社 (2019)

大竹弘二『公開性の根源:秘密政治の系譜学』太田出版 (2018)

里中李生『私は昨日まで日本を愛していた』イースト・プレス (2021)

ハンナ・アーレント『思索日記 1950-1953』法政大学出版局 (2006)

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日記

 

『君が異端だった頃』を手に取ったときに、この本が文庫化されていそうだということをなんとなく予感したが、やはり文庫化されていた。

集英社のコーナーに行けば良かったのだが面倒くさくて結局ハードカバーを買ったが少し後悔してしまっている。

悔しいので通勤中に少しずつ読み進め、140ページまで読み進めた。

 

 

島田雅彦氏の私小説であり、「小説家になる」という夢を見事に叶えた人物の自伝として読むことにした。

140ページまでは大学受験で浪人した末、東京外国語大学に合格した話までが書かれていた。

 

 

自身の読書経験から分かったことは、著述家の多くは中学生、高校生の間に多くの古典や文学作品に触れているという共通点であった。

島田氏も高校1年生の文芸部に入るまでに既に大江健三郎安部公房カフカ、ポーなど多くの書物に触れていたことが書かれていた。また、「読書量に自信があった」と高校生の時点で断言していたところ、相当多読家だったであろうと思われた。

 

 

冴えない人生を小説家になって書き換えてやる、という野心が小説家という夢の実現に近づけさせたと感じたが、それは置いておいて、島田氏のキラキラした高校生活が端的にうらやましいと思ってしまった。(年に5,6回くらい告白されるというのは、個人の感覚では普通ではない)

 

 

・・・

 

興味本位で政治に関する本を貪る日々がつづいている。今日読んだ『公開性の根源』は、斬新さを感じたため読んでみることにした。

ひとまずメモをとった。

"ボダン、ホッブズ、ルソーのいずれにおいても、主権の本質的定義は、それが「立法権」であるということだ。" P25

 

 

里中氏の本は久々に読んだ。

里中氏はフェミニズムを攻撃はしないにせよ、かなり批判的に書いている。

いわゆる「第一波」の功績を評価しているものの、里中氏は「第三波」には明らかにその意義を否定している。

 

 

例えば、InstagramTikTokでは女性が美しい容姿を売りにフォロワーを多数獲得しており、そこから得られる利益は「性」が「商品」になっている側面も否定できないが、それをフェミニストたちは無視している、と里中氏は書いていたが、たしかにフェミニズムはいわゆる「権利」に固執している感も否めない。

これは単なる偏見ではないように思われた。『「社会正義」はいつも正しい』では、今日のポストコロニアルカルチュラル・スタディーズクィア理論の錯綜が描かれていた。

追おうと思えば思うほどそのベクトル、攻撃の対象はますます複雑になっており、混乱というよりも「多様化」しすぎていて、結果的にフェミニズム運動の「一体感」「一貫性」には欠けている点があるように思われた。

 

 

・・・

 

ハンナ・アーレントは261項前後において、シモーヌ・ヴェイユマルクスに言及し、労働に関する洞察を行っていた。ひとまずメモにとった。

 

"マルクスは、労働を本質的に製作とみなすことによって、アナンケーへの隷属を避けようとしている。彼が労働を製作とみなすことができるのは、ギリシア人自身が製作を労働に格下げしていたからである。重要なことは、この点で正しい区別を見いだすことである。製作が現実に「自然との新陳代謝」にほかならない限り、労働者である人間は工作人 (Home faber) ではない。機械は労苦を軽減するだけで、何も変えることはない。「動物化 (abruitssement) 」はおそらくそのままで、その結果、娯楽の「白痴化」が起こるか、「白痴化」が娯楽に浸透するかもしれない。" P261

 

 

技術が進歩してもなお、いつまでも日本人の労働時間は大幅には変わらず、パンデミックが起こればあっという間に生活苦になる人々が多い。

機械は何も変えないという言葉と「政治は何も変えない」と自分で作った言葉は同じに思えた。政治的機械人間。機械的政治人間。

池田晶子も同じようなことを何回も書いていたことはこのブログでアウトプットしたおかげで頭に刻まれている。

 

 

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