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読書日記1155

読んだ本

マイケル・サンデル『実力も運のうち 能力主義は正義か?』ハヤカワ文庫 (2023)

つづきを読み進めた。

 

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日記

 

 

神学的な要素を盛り込みながらメリトクラシーの起源についてサンデル氏は掘り下げた。

今日、どれほどのアメリカ人が神や救済について信じているかは分からないが、名残としてはある程度残っているのではないか、とサンデル氏の発言から読み取れた。

サンデル氏は文化史家のジャクソン・リアーズ氏の言葉を引用した。

 

"「運命を支配する個人の責任にこだわらない文化は、もっと包容力があり、寛容で慈悲深いものだ。」" P82

予定説を包摂するキリスト教的には、個人の責任を運命に還元するという見方はあるはずである。

誰がなにをしようが、天国か地獄に行くかは全ては神が決めるという考え方である。

天職に邁進すること(=労働)による救済という考え方が資本主義の素地となったということが本書に書かれている。根拠としては、プロテスタントと資本主義の関係を研究したマックス・ウェーバーが「カルヴァン主義者は自分自身によって救済を生み出す」という言葉を残していることによる。

 

 

そしてカルヴァンから派生したピューリタンアメリカを建国した。つまりアメリカの能力主義は遡及すればカルヴァンの予定説とつながる。

 

 

慣習として労働によって救われるという考え方が変形していったのだと思われる。

つまり労働によって幸せになれる⇒労働を一生懸命すればそれは本人の努力のおかげだ⇒努力した分、報酬となる⇒経済的な豊かさは本人の努力で決まる⇒メリトクラシー

という寸法である。

 

 

なかなか面白い考察だなと読んでいて感じた。

サンデル氏はこの寸法に待ったをかけるだろう。

150ページ以降はどのような展開になるかに期待である。

 

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