本棚が目の前にある。
新しい理論が生まれた。
そして本になった。
時代を切り開く新しい知は本棚へと向かう。
本棚がパンパンになった。
新しい知がまた生まれた。
本棚を拡張すべきか否か。
無駄な知はない。
ならば、ひたすら本棚を拡張させるまでだ。
次第に本棚が増えていく。
本棚は図書館として構成されていく。
するとどうだろう。
どうやら分類をしなければならなくなった。
そうしているうちにも本棚は増えていく。
増設に次ぐ増設。
今度は分類するための知が生まれた。
次に図書館のあり方をめぐる知が生まれた。
メスとオスが交わり新たな生が生まれる。
書物と書物が編集され新たな知が生まれる。
本棚は増えるばかりか。
否。
限りある生が消えていくように事実でないと判明した知も消える。
しかしどうだろう。
古今東西、今では間違っていると分かっていても古い知は記録として残される。
やはり拡張されていく。
自己増殖。
まるで細胞に寄生するウイルスだ。
そしてしまいには本棚の分類すらできなくなる。
資料を探すだけで、集めるだけで1日が終わる。
図書館は以前より遥かに巨大になる。
まるで宇宙の膨張。
果たしてこれは進歩か。
進歩とは拡張なのか、膨張なのか。