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読書日記280

野晴貴『ストライキ2.0 ブラック企業と闘う武器』集英社新書(2020年)を読む。

この一週間ほど、公益とはなにかをちびちびと考え、無駄な長時間労働を減らすことは公益であると考え、教員の長時間労働に着目してきた。

 

 

次に、民間企業のこともいろいろと考え本を読みあさったが、今度は労働組合ストライキのことも調べてみた。

長時間労働に苦しむ人たちは真面目で、それが故に自責的になり、何も変えようとしない人が多いのでは、と疑問に思った。

 

 

本書では、サービス業界において、構造上の難点を指摘する。

サービス業界は往々にして職場の人数が少ない。

多店舗を展開するいわゆる「ドミナント戦略」によって、従業員同士の連携が取れにくい構造があった。

 

 

SNSの普及によって「ワンオペ」など、可視化されることが可能になった。

サービスエリアのストライキは、利用者側からしたら迷惑きわまりないが、それでもほとんどの人が賛同した。

総務部長が貯金1500万円を切り崩してまで従業員の給与を補填したことなどが後押ししたとされる。

 

 

ストライキ2.0」という意味について個人的に解釈した。

本書には明確に書かれていなかったが、ストライキを行う人には共通して、社会的な層(非正規またはブラック企業に勤める層)があり、賃金に理不尽な差がある「正社員」と対立する形が多かったことから、この新しい形態のストライキを「2.0」としたと推察される。

 

 

「連携」という機能は他の社会問題でも度々重要な要素となっている。

人々の連携が希薄化する社会では苦しむ人が増えることは間違いなさそうである。

 

 

つづく