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なぜ貧しくなるのか?もしインフルエンサーの成功術を信じるにせよ。

 

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答え:それは成功術が「現実を削ぎ落とした物語」にすぎず、信じた分だけ、複雑で不確実な世界への耐性を失うから

 

 

インフルエンサーの言葉は、まるで万能薬のように人々の不安に浸透する。
「努力すれば必ず報われる」「習慣が人生を変える」「行動すれば成功はついてくる」。
耳に心地よく、疑う余地のないほど当たり前に聞こえる。だが、その当たり前を信じれば信じるほど、人はなぜか貧しくなっていく。ここにこそ、成功術の最大の皮肉が潜んでいる。

インフルエンサーの言葉は、たしかに人を奮い立たせる力を持つ。しかし、それは「正しい言葉」である以前に「売れる言葉」だ。売れるためにはシンプルでなければならない。シンプルであるために、世界の複雑さは切り落とされる。人は「切り落とされた現実」を信じ、そこに自分の人生をはめ込もうとする。だが、現実は常に非対称で、予測不能で、雑音に満ちている。タレブが言うように、成功は「分散」や「冗長性」から生まれるのに、インフルエンサーの成功術は「唯一の道筋」を強調する。これがすでに、貧しさへの入口である。

「成功者の真似をしろ」というアドバイスほど危ういものはない。成功者が成功したのは、彼らの努力や習慣や人脈が理由かもしれない。しかしそれ以上に、運の要素が圧倒的に大きい。成功者は、自分が運によって選ばれた事実を過小評価する。だから彼らの物語には「再現不可能な要素」がごっそり抜け落ちている。信者はその抜け落ちた部分に気づかず、同じように努力し、同じように振る舞おうとする。だが当然、結果は再現されない。努力の量だけ、かえって相対的な貧しさが増幅される。

ここで問題なのは、信じた人が「自分の失敗」を「努力不足」と解釈してしまう点だ。インフルエンサーの言葉は常に「できなかったのはあなたのせい」と結論づける余地を残す。つまり「失敗もまた商品」の一部になっているのだ。成功術を信じた人が失敗するたびに、彼らはさらに多くの教材、セミナー、自己啓発書に金を費やす。節約ではなく浪費、投資ではなく消費。お金だけでなく時間も吸い上げられ、気づけば「成功するための準備」をしているうちに人生が終わる。これこそ「貧しさの再生産」である。

もう一つの問題は、インフルエンサーの言葉が「現実の人間関係」を切り崩してしまうことだ。自己啓発の多くは「ネガティブな人から距離を取れ」「足を引っ張る人とは縁を切れ」と説く。だが、ネガティブな友人や批判的な同僚こそ、現実の不確実性を教えてくれる貴重な存在ではないか。自分に都合のよい言葉しか受け入れなくなった人間は、世界の雑音を排除しすぎてしまい、現実への耐性を失う。気づけば、彼らの周囲には同じ言葉をオウム返しする信者しか残らない。外の世界に接続できない孤立した共同体は、やがて内側から崩れていく。

インフルエンサーの成功術を信じると、人は「数字」に取り憑かれる。フォロワー数、売上額、自己投資額、毎日のルーティン時間。数値化できるものだけが価値とされ、数値化できないものは「無駄」とされる。だが、人生の大部分は数値化できない。偶然の出会い、気まぐれな選択、なんとなく立ち寄った喫茶店の会話――そうした無駄の中にこそ非線形のリターンが潜む。数値ばかりを追う人間は、数値化できない豊かさを切り捨てる。切り捨てた豊かさは戻らない。残るのは、乾いた数字だけの人生だ。

さらに厄介なのは、成功術を信じた人ほど「自分は特別だ」と思い込みやすいことだ。インフルエンサーは「あなたにしかできないことがある」「他の誰でもないあなたが主役だ」と囁く。だが現実は逆だ。特別であると思い込む人ほど凡庸な道に埋没する。なぜなら、特別さを強調すること自体が大量生産された言葉の一部だからだ。インフルエンサーの量産型言葉を信じることで、人は「没個性の群衆の一人」として同じ軌道に収まっていく。皮肉なことに、唯一無二を信じれば信じるほど、人は凡庸へと沈む。

では、なぜ人はこんなにも簡単に騙されるのか。理由は単純だ。人は不安だからだ。不安を埋めるものが「物語」である以上、物語を売る者が強い。インフルエンサーは「未来は明るい」「やり方を知れば必ずうまくいく」という物語を売る。不安を抱えた人はその物語を買う。物語にお金を払うこと自体は悪ではない。しかし、問題はその物語が「現実の複雑さ」を欠いていることだ。複雑さを欠いた物語は脆い。脆い物語に依存するほど、人間そのものが脆くなる。そして脆い人間は、ほんの小さな挫折で崩壊する。そこに待っているのは、貧しさ以外の何物でもない。

タレブならこう言うだろう。「不確実性を避けるな。不確実性の中に飛び込め」と。だがインフルエンサーは「不確実性を管理せよ」と言う。その差は決定的だ。管理できると思った瞬間、人は不確実性に対して無防備になる。無防備な人間は、予期せぬブラックスワンに襲われてすべてを失う。管理幻想を売る成功術を信じれば信じるほど、人生はブラックスワンに脆弱になるのだ。

気づけば、人は貧しくなっている。財布だけでなく、関係も、経験も、人生の厚みも。インフルエンサーの言葉を信じた結果、人は「現実を信じる力」を失ってしまう。これは金銭的な貧しさ以上に深刻だ。なぜなら、現実を信じられない人間は、現実の中で行動できなくなるからだ。インフルエンサーが用意した言葉にすがり、現実を直視することを避ける。その間に、時間だけが冷酷に過ぎていく。

 

 

最後に・・・

あなたは本当に豊かさを掴んでいるだろうか?それとも、インフルエンサーの成功術を信じることで、むしろ自らの未来を貧しくしてはいないだろうか。

 

 

 

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