熊代亨『何者かになりたい』イースト・プレス(2021年)を読む。
精神科医の本である。
昨今は「インフルエンサー」になるべく、必死に動画を作成して読者を獲得しようと躍起になる人が多い。僕もその部類の人間になりつつある。
正社員の平均年収はバブル期をピークに下降し続ける。
こんな状況で、何かにチャレンジするのはポジティブな事として受け止められるべきである。
しかしながら気を付けるべき点を著者は指摘する。
いつもの自分とは違う「キャラクター」で自己表現をしてしまうことである。
数字を出し続けるにはどうしても「受け」を気にしなければならない。
そして独自のキャラクターを作り上げる人は一定数いる。
そんなときに人気を獲得してしまうとのちに辛い経験をする。
昔僕は、アイドルの中川翔子氏がオタクの自分を殺すことが辛かったという話を聞いたことがある。
いつまでも素の自分でいられたらどれほど楽だろう。
僕はできれば嘘をつきたくないタイプなので、表面だけの付き合いはしない。ゆえに友達が少ない。それはそれで大変でもある。
時には人と群れる。時には自分の時間を持つ。これは大事だ。
何者かになりつつも、何者かでない状態。
これが理想なのだろうか。
つづく