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読書日記73

野晴貴『賃労働の系譜学 : フォーディズムからデジタル封建制へ』青土社(2021年)を読む。

本書は一橋大学大学院の後期課程を修了( 社会学 )し、現在NPO法人の代表を勤め、日々労働問題と闘っている方が、現場から何が起きているのかを系譜学的に考察する本である。

 

 

タイトルにあるように著者は、資本主義が日々変化しつつ、コロナ禍によってさらに異質なものとなり、結果的に封建制に回帰しつつあるのではないか、という仮説を提示する。

 

 

不況の様相を呈しているものの、株価は上がりつづけ、富裕層や大企業を中心とするアッパーミドル以上は概ね安定したままでありながらも、サービス業を中心とする中間層以下は貧困になりつつある。

 

 

僕がなんとなく思っているのは、派遣村の頃から企業は短期的な利益に目を奪われ、従業員全体を大事にしてこなかった体制や文化が、そもそも今までの失われた30年と呼ばれる日本不況の原因ではないのか、ということである。

 

 

僕が学生の頃から「即戦力」というフレーズが就職活動のメインテーマであるように感じていた。

もはや育てる余裕がないくらい、忙しくてピンチなのだろうか。

逆説的にそれがうまく機能していないようにもみえる。

僕はあくまでマクロ的な視点からでしか物を言えないので、仮説にすぎない。

 

 

本書を通じて、この閉塞感の本質を理解したいと思う。

つづく

 

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