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読書日記345

林秀雄『直観を磨くもの:小林秀雄対談集』新潮文庫 (2013年) を読む。

翻訳家の福田恆存や、洋画家の梅原龍三郎等との芸術について語る。

福田恆存とはサルトルカミュらの、いわゆる「実存主義」について語る。

 

 

端的に「つまらない」で意見が一致した。

「今ここにある人間の実在」というもののあり方を問う。

カミュは『異邦人』において不条理を表現。

 

 

「今ここ」に焦点を当てることで過去と未来を切り離す。

芸術や思想の表現として間違っているという、痛烈な批判が語られた。

 

 

梅原龍三郎との対談ではピカソゴッホについて語られた。

ピカソは努力家であり、なんでもこなす万能タイプ。

ゴッホの場合は天成という判定であった。

 

 

批評家は語り、芸術家は造る。

芸術家は語らず、批評家は造らず。

 

 

小林秀雄は語ることしかできない自分に、多少のつまらなさを感じていることを漏らす。

部活動の試合中、監督に「解説者になるな」と注意されたことがある。

日本の場合、解説者は球界のOBがやる。

野球をつくり、かたる。

 

 

つくることのできない批評家は、いったい何を語ったことになるのか。

突き詰めれば、これは滑稽な話ではないだろうか。

つくることのできない解説者に何を語ることが可能であるのか。

 

 

つづく