酒井健『バタイユ入門』のつづきと、
バタイユはアカデミックの世界において「最も完成された代表者」とまで言われた。
本書は入門書とはいえ、何を言っているのかさっぱりわからず、参ってしまった。
バタイユの思想には「低い唯物論」というものがあると書いてあった。
小林秀雄に影響を与えたベルグソンは「唯心論」であることから、知識人同士の僅かな思想的違いというものを見出すにとどまる。
バタイユを学びたい人にとって本書が有益なものとなるかは、個人的には疑問であると感じる。
仲正氏の本も難しい局面に入った。
ベンヤミン『暴力批判論』をJ・デリダが「脱構築」するところから読み始める。
法、暴力、権力の相互作用について考察されたものとなっている。
あくまで私の解釈では、デリダの言わんとしていることは、法の最終目標は「正義」であって、その目的を達成するためには「暴力」を正当化・許容するが、暴力自体の目的はそもそも「正義」とはなり得ないことから、「権力」が介入することによって法と暴力が癒着し、ポスト近代はアポリア(道がない)になるのだと解釈した。
参考記事:中山元『正義論の名著』ちくま新書(2011年)読了
つづく