佐藤優/香山リカ『不条理を生きるチカラ』のつづきを読む。
二人はそれぞれの生い立ちを語る。
印象的であったのは、香山氏は自らの環境を恵まれていたと自覚していて、自分の力ではなく偶然の出来事と話していることであった。
地頭が良くても教育資源に乏しければ学術的なキャリアが閉ざされるという、今となっては不条理なことであり、かつ常識となっているが彼女はいつそれに気づいたのだろうか。
話は朝田彰『構造と力』に移る。
二人とも手に取っていて、当時はそれほどにインパクトある本であったことが伝わってくる。
2022年3月に『現代哲学の論点』を出した仲正昌樹氏も浅田氏に影響を受けていることを書いていた。
浅田氏は、今でいう「サロン」のようなことを東京でやっていて(SEDIC)、香山氏も関わっていたそうである。
また、そこからはポケモンをのちに世に送り出すプロデューサーらも輩出したのだそう。
佐藤氏によれば、ポストモダンは不条理とは向き合わない思想が根本にあるという。
村上春樹『騎士団長殺し』やカミュ『ペスト』には気づきにくいがあるメッセージがこめられているという話へ移っていく。
以上までを読み、「実存主義」というものがよく分かっていない私ではあるが、ポストモダンを理解することは現代を読み解く鍵でもあるかもしれないと感じた。
つづく