こちらのつづき
前回は『人倫の体系』と『精神現象学』との関係性についてまとめた。
ヘーゲルはイェーナ期においてフィヒテ、ホッブズ、シェリングの哲学から吸収しつつ独自に解釈し直す方法で、1807年に『精神現象学』を発表した。
ホネットは、「承認」について、ヘーゲル『精神現象学』の再構成を試みることによって独自の理論を構築しようとする。
ホネットによれば、『人倫の体系』と『精神現象学』において差異がみられるという。
それは、『人倫の体系』においてのみ、「闘争」が媒体となってはじめて「自我の能力を高める」とかいてあるという。
つまり、ヘーゲルが『人倫の体系』を再構成していたことがうかがえる。
本書ではその過程について追っていく。次は理論から実践へ。『実践哲学』の内容に入っていく。
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ホネットによれば、実践哲学は3つの要素からなるとした。
[ 論理学・自然哲学・精神哲学 ]
である。
本書ではまず「精神哲学」の解釈から始まる。
ホネットは、精神哲学の「精神」を3つに分けた。
[主観的・現実的・絶対的]
である。
ホネットは、まずは「主観的精神の修養過程」についてのべていく。
その過程は、
外化⇒主観性の領域への還帰
であるとした。
また、
「主観的精神」 ≒ 「意思」
であり、
意思について次のようにヘーゲルは説明する。
"意欲するものは意思するもの、すなわち意欲するものは自分を定立しようとし、自分を自分として対象しようとする。"
ヘーゲルは修養過程を労働の観点から説明する。
例えば、動物はお腹が空いたらすぐに食べる。
ところが、人間の場合はそうはいかない。
人間には「お腹が空く⇒食べる」という単純構造ではなく、そのなかに労働が入り込む。
労働について、ホネットは「直接的欲求の充足の中断」と表現し、
そこには運動エネルギーと耐えるための訓練が必要であるとした。
そのエネルギーによってお金を稼ぐ。そのお金で「すぐに」食べ物にありつける。
しかしながら、その労働は半ば強制的であり、抑圧的である。
ヘーゲルは主観的精神の修養過程を説明するには、「法的な人格」と世界の相互作用を説明する必要があるとした。
1000文字近くになってしまったので次回つづきを書いていく。
つづく