細かい内容はカテゴリー「読書日記」に書いてきたので割愛。
ケンカとは、この本の文脈からすれば要は「議論」である。
単に相手を負かす為の本ではない。
この本は決してハウツー本ではない。
遥氏はテレビのタレントである。
ウィキペディアによれば、遥氏が東大に留学したのは1997年とのことである。
この本を読めば分かるが、当時のテレビでいかに女性が差別されていたのかが痛いほど伝わってくる。
上野千鶴子氏は男性社会の力学、論理構造を様々なアプローチから暴き出す。
当時はレヴィ=ストロースから始まったフランス思想、「構造主義」というものがある程度ブームであった。
(本書は橋本氏『はじめての構造主義』の内容が度々引用される)
本書を読めば、上野氏は人類学、構造主義、(この本ではロラン・バルトなど)、最先端のジェンダー研究、マルクス主義などの文献を読み込み、実証的に、論理的に男性社会に立ち向かっていったことが分かる。
遥氏が掲げた、ケンカに勝つための十ヶ条の最後に、「勉強をする」という項目がある。
これは上野氏の仕事そのもので、世の中の多面性を把握するには多読しかないのだという。
これは僕も全面的に同意である。
僕も2年前くらいから多読をしている。
多読なしに物事を多角的に捉えることなど不可能だ。
書かれていなかったので敢えて付け加えるとすれば、やはり「興味あるもの」を勉強するのが一番良いと思う。
上野氏は堂々と「学生なんてなーんもわかっていないのよ(東大生に向かって)」という。
それは、要するに学生がやっていることは「暗記」がメインであって、加えて視野が狭いからだと言わざるを得ないだろう。
それは教育の限界でもある。
それが学問の難しさであり、楽しさであると僕は思った。
最後まで読んで良かったなと改めて思った。
つづく
(上野千鶴子氏の記事はこちらにも ↓ ↓ ↓ ↓ )