ポール・クルーグマン『ピケティ以後:経済学と不平等のためのアジェンダ』青土社(2019年)を読む。
ピケティ『21世紀の資本』を多角的に分析する本に興味を持った。ピケティを再検討するべく多くの学者を集めて論文を一冊にまとめ、編集されたものである。
導入部分から読み進め、その後各章の結論をさっと読み通す。
本書によれば、分析するにはもはや経済学だけではなく社会科学が必要とされる。
ジェンダーの研究者も当然のように、経済学の限界を示している。
本ブログで何回も書いてきたように、富の分配だけでは格差を解決することは不可能である。
また、そもそも格差とは何か、どのような点において格差は正当化されるのか、という問いに対して学者たちが一致した見解を共有しているわけでもないのが現状である。
科学だけではなく人文知が要請されている。
個人的にはそのように感じている。
科学と人文は対立している場合ではなく、政治という場においてはお互いが協力していかなければ、結果によっては次世代以降が苦しい生活を強いられるようになるかもしれない。
このように思いを巡らせれば、どのような仕事に意義を見出せるのか、どのような生き方に意義があるのかという問いに対して、哲学の枠組みから一歩飛び出すことによって自分なりの意見を明確に持てるように思う。
つづく
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この記事と関係のある本
ナンシー・フレイザー/アクセル・ホネット『再配分か承認か? 政治・哲学論争』
『Ai時代の新「大きな政府論」』
オリヴィエ・ブランシャール『格差と闘え 政府の役割を再検討する』
プラトン『国家』
原田和広『実存的貧困とはなにか : ポストモダン社会における「新しい貧困」』