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C.ダグラス・ラミス『経済成長がなければ私たちは豊かにはなれないのだろうか』読了

書を読み終えたとき、この本は僕が去年思ってたことをそのまま代弁してくれたように感じた。

著者の考え方と今の僕の考え方はだいたい同じであると僕は思っている。

この本は僕の考えに肉付けしてくれたように感じる。

基本的な部分は僕のブログに載っていると思うので割愛する。

 

 

巧妙に言葉が刷り変わっていることに僕は怒りを感じている。

過去に何回か書いた覚えがある。

「監視カメラ」が「防犯カメラ」と名前が気づかないうちに変わっていったように。

 

 

 

例えば、本書では「人道的介入」という言葉によって「戦争」「暴力」というものを正当化しているように見せかけているという指摘があった。

認知科学を勉強すると、人の判断力、認識能力がいかに脆いのかがよくわかる。

巧妙な仕掛けを見抜くのは本当に難しいと思う。

 

アマルティア・セン『合理的な愚か者たち』を全ては読んでいないけれども、人は「自分で選ぶ」ことですら合理的になり得ないことがある。

 

 

この本は10回でも読む価値があると僕は思っている。(理想的には1回で全部吸収したいのではあるが、忘れっぽいのがネックである)

 

 

特に印象的であったのは、先住民タノイ族とコロンブスの話である。

タノイ族は合理的な生産活動の術をしっていたので、一日の労働時間がほとんどなかった。何をしていたのかというと、音楽を楽しんだり、装飾品を作っていたそうである。

 

 

ところがコロンブスが彼らを奴隷にしようと、侵略を始めたが、結局タノイ族は奴隷になれずに、鬱病などに罹り100年ほどで絶滅したという。

結局、労働力はアフリカの黒人に置き換わった。であるので、現在カリブには先住民がいないということである。ショッキングである。

経済活動は、さすがに人は殺していないという点で戦争とは違うが、僕は基本的な構造は変わっていないと、このあたりのページで理解する。

 

 

 

この本は現代の労働観をアップデートするために必要な本であると僕は感じている。

今はだいぶマシになってきたとは思うが、僕が大学生の頃はブラック企業が話題になったものだ。

アリストテレスは、「時間のない人間(=奴隷)には政治をさせない」と言ったそうだ。

 

 

現代もそうではないか。誰が一生懸命に政治について考えている。

僕のイメージでは「高齢者」であって、彼らは時間がたっぷりある。

そしてなにかと忙しい若者は政治活動をしない。

街でビラを配ったり政治活動をしているのは高齢者が多いと僕は日常生活レベルで感じる。

 

 

長くなってしまったが、僕は長時間労働によって考える力が奪われていると思ってしまう。

そしてなにか裏があるとつい勘ぐってしまう。

つづく