柄谷行人『柄谷行人書評集』のつづきを読む。
時代を横断的に分析した人物たちの数多ある書物を、今度はこちら側が横断的に読む。
その作業を通じて統計学的に、思想の「平均値」を掴むことができると思う。
読書日記系の本は大型書店に数多ある。
こちらの本はそのうちの一つである。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
想像はつくが、やはり小泉内閣の頃に「新自由主義=ネオリベ」が加速し、「自己責任」という言葉が普及することとなった。
柄谷氏によれば、このような類の本はバブル以前は「自己開発」と呼ばれていたそうである。
しかし、自己開発という言葉には「集団的な拡大」という意味合いが強く、当時は企業間に「相互扶助」の働きがあったとされる。
それをネオリベが「解体」し、「自助」の時代の幕開け。
かくして、「自分のことは自分でなんとかしなさい」という雰囲気が漂う。
そこを、自己中心的な「自己啓発」が時代の隙間に侵入してくる。
自己啓発を俯瞰する本も多少はあるが、やはり自己啓発本が多い咋今。
時代とともに本も変容することを教えてくれる。
つづく