シュライエルマッハー『独白』岩波文庫を読む。
シュライエルマッハーは19世紀ドイツの神学者であった。
三章「世界観」から読む。
本書を読むと「彼ら」という言葉が度々出てくる。
シュライエルマッハーの文章を読んでいくと、自ずと「倫理」「精神」の重要さを説いているようにみえる。
物質を支配し、主体的に利用できるようにしていく、いわゆる「文明」に対する批判であり、「共同体」こそが人類に必要なものであると説く。
ロレイン・ダストン/ピーターギャリソン『客観性』名古屋大学出会(2021年)において、「客観性」というものは1860年頃に登場する比較的新しいものであると書いてある。
おそらく、シュライエルマハーの生きた時代は科学が発展していく真っ只中にあったと想像がつく。
そんなご時世の精神に対して「待った」をかけているようにみえた。
個人的には、「客観性」という概念の登場によって人間の精神は没落していっているように思えなくもない。
「モノの豊かさ=社会の豊かさ」という図式がある程度共通の認識となっている昨今の資本主義においては、ますますこの傾向は強くなるばかりではないだろうか。
とはいえ、こういう考え方は「マイノリティ」に属すと思われる。だからこそこういった思想家の言葉になびくのが私のサガである。
現代アートに関しては様々な本で「終焉」という言葉をみかける。
何が「価値」で何が「真理」か揺らいでいる。
それは人間の精神が没落した証だと個人的には思うのだが、それも少数派の考えなのだろう。
つづく