エドウィン・W・ライシャワー『ザ・ジャパニーズ』角川文庫 (2019年) を読む。
駐日アメリカ合衆国大使をつとめた人物である。
本書は1979年に文藝春秋から刊行された単行本を文庫化したものである。
本日は歴史的背景の章を読み飛ばし、「社会」の章を読む。
日本の国民性について外側から書かれた貴重な本ではないだろうか。
外側から見た日本については、他にルーズ・ベネディクト『菊と刀』が挙げられる。
本書では「集団と個人」の観点からアメリカとの比較がなされる。
ライシャワー氏は、アメリカは神や法の観点から独立独歩を理想とする個人像であるに対し、日本は集団を重視しがちであることを指摘した。
「コネ」「面子」という言葉からそれを読み取る。
たしかに、「面子」という言葉は外国語にはあまりないのではないか、という印象を抱く。
「面子を潰す」という言葉は日本語独特のような向きがあるのではないだろうか。
少なくとも、英語を学んだ私としてはそのような英語のフレーズは触れなかった。
ライシャワー氏は『菊と刀』を評価しつつも、日本人の特徴は変化しやすいことを歴史的背景から説明する。
たしかに、江戸から明治、戦争を経て高度経済成長の過程において一貫する性質はないようにみえる。
また、余談にはなるが彼は日本の精神医療を大きく変えるきっかけとなった「ライシャワー事件」に巻き込まれてしまう。
つづく