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読書日記278

内聡『学校弁護士:スクールロイヤーが見た教育現場』角川新書(2020年)を読む。

教員免許と弁護士資格の二つを保有し、教育現場で教師として働いている自称「日本初」の人物が書いた本である。

導入部分から一章を読み、法律と実務のせめぎあいを覗く。その後は教師の長時間労働問題の章を読む。

 

 

『教師崩壊』において、何故昔と比べて今は長時間労働化してしまったのか、調査をもとに原因が考察された。

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それは「子供への支援やケア」に時間を取られている為であるとされた。

本書『学校弁護士』においては、原因は二つで、教師の供給数の不足と過剰な業務量であるとした。

 

 

著者は長時間労働の原因に関して、6つの点を挙げた。

1、部活を支配する「連盟」

2、学習指導要領

3、乱立する「○○教育」

4、行政によって製造される無駄な調査と研修

5、学術研究の成果を軽視する教育政策

6、教師に過酷な責任を負わせる法律家

 

 

本書は、『教師崩壊』においても取り上げられていた、神林寿幸氏の統計に基づいた研究について触れられていた。

実証的に示されたにもかかわらず何故か生かされていない。

特定の条件を満たした地域においては、教員がうつ病になりやすいこと等も示されている。

 

また、生徒の指導や保護者対応に時間を割かれることや、連盟のルールによって大会の運営に携わらずを得ない点なども挙げられた。

 

 

本は一冊読んだだけで判断はできないが、複数同時に読むことで教員の長時間労働問題の共通項はみえてきたように思う。

 

 

つづく