最近、僕は意味にとらわれている。
ということで、幻冬舎『何もしない』という本を読んでみた。
エッセイの形式で、まとまりがなく、吸収しづらい本ではあるが、なんとなく無意味さの大切さは感じる。
いや、むしろまとまりがないほうが、かえって読者に先へ先へとページを進ませる配慮があるのでは、と勘繰ってしまう。
一年間ただ檻の中で何もしないで生きるパフォーマーがいたみたいだ。
普段何かしら時間に追われていて、大切なものを見失う感覚はある。
パフォーマーのやったことは、僕たちの考える何か大切なものというものを、思考実験的に確かめていくような、途方もない作業にみえた。
結局のところ、何もしない、という「ルール」によって実は縛りから抜けきれていないというオチがある。
彼が教えてくれたこと。
それは、
何もしない、というのが実は難しいという、ラットレースを彷彿させる帰結であった。
つづく