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キャス・サンスティーン『行動科学と公共政策 ナッジからはじまる自由論と幸福論』勁草書房(2021年)読了

ちらを読み終えた。

 

nainaiteiyan.hatenablog.com

 

 

この本を読み終えて、僕はナッジというものがある意味「もろはの剣」のような性質をも持っていることを理解した。

誘導と言えば聞こえは良い。

しかし、使い方によっては「操作」に値する。

 

 

この本のタイトルにもあるように、政策は個人の「自由」と「幸福」に直結する。

いかにして行動科学を用いて、公共的な善を達成させるか。

この本は政治経済と倫理学、そして哲学を対象とする、ある意味では壮大な本である。

 

 

後半部分では、行動科学が一切ない状態を想定して、そこから何が言えるだろうかという考察に入る。

現状では「計算可能なもの」のみに有効性が認められるとする。

 

 

例えば、燃費問題がその典型となる。

消費者側のミスによって無駄にエネルギーを消費している場合は介入によってミクロ的にもマクロ的にも利益を与えることができる。

 

 

しかしながら、ここでも客観性が大事で、問題は本人の意志なのか、そうでないのか。

本書では「直接的な判断」か「間接的な判断か」という言葉で説明されている。

 

 

間接的な判断は哲学上の難問として立ちはだかるという帰結になる。

ナッジも使い方を見誤ると有害になるということであった。

 

 

以上から、哲学だけでなく、あらゆる分野の学問においても正解のない問題が山積みであることが確認できた。

ロールズは「深く考えすぎない」ことを提案する。

 

 

考えすぎたところで泥沼にハマる危険性があるということだろう。

本書を通して僕は、理論と実践は常に並列的に、一緒に進んでいかなければならないのだと思うようになった。

つづく