目の前のボタンを押せば5人助かり1人死ぬ。
なにもしなければ5人が死に、1人助かる。
どうすべきか。
結果から行為を判断する考え方を帰結主義と言うらしい。
トロッコ問題に限らず、人は無意識に似たことをしている。
「これだけやればあなたも合格」
こういう本が言いたいのは、要するに、やるべきことをやれば誰でもなんとかなるよ、というメッセージだ。
だから人は目標を立てる。
でも、大きな目標を達成できるひとの割合がなんと少ないことだろうか。
さて、ここにはどんな心理が隠れているだろうか。
僕はこう考えてみる。
帰結主義の欠点は「手段を選ばない」だ。
もし、ボタンではなく、大勢を助けるには橋から人を蹴り落とす必要があるとする。
この場合、結果が最優先されるならば人を蹴り落とさなければならない。
僕はできない。
これは今のべた目標と無関係ではない。
極端に言えば、結果(=終点=目標)のために過程を「人為的」に操作することになる。
人生が時間軸上の直線であると仮定すれば、その直線上の点として存在する「目標」を達成するために自分の人生を「人為的」に操作することになる。
操作するのは自分であるはず。
しかしながら、「操作される」のも自分である。
能動態と受動態の同時的存在。
僕はこの矛盾を解決できない。
ゆえに目標は要らない。
つづく
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