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読書日記414

田裕『バタイユ 聖なるものから現在へ』名古屋大学出版会 (2012年) を読む。

バタイユの入門書を読んで、あまりピンとくるものがなかったので読んでみることに。

 

 

バタイユは、自分は哲学者ではなく聖者あるいは狂人だ、と述べた。

私は哲学ではなく陶酔というものを教えているのだ、そのように言う。

本書では、バタイユニーチェヘーゲルの本を長い間読んでいたり、モーリス・ブランショらと「ソクラテス研究会」なるものに参加していたことなどが書かれている。

しかしながら、30歳の時点で彼は哲学的な教育を受けていないと書いてあった。

 

 

また、生前のバタイユはあまり注目されていないとも書かれていた。

バタイユの死後に著名な思想家たちが彼の思考を参考にしていたことが明らかになってようやく日本においてもバタイユが受容されていったとある。

 

 

ゴッホカフカ等、死後に評価された芸術家や文学者は多いようにみえる。

また、ガブリエル・タルドという社会学者もドゥルーズの著作によって注目されるようになったと松岡正剛氏は述べていた。

 

 

仲正氏によれば、人文という学問は決着がつきにくいとされる。

数学や物理学等は実験で証明できるが、人文はそうはいかない。

そういう狭い意味においては、やはり古典にも時代の先を行く考え方が詰まっているのかもしれない。

 

 

つづく