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希少性とエントロピー

「価値とは希少性だ」
と言う人がいた。
なので考えてみた。



価値 ≒ 目的
と言える。
何故ならば、価値を目的という言葉に置き換えても、文脈的には意味が成立するからである。



「やる価値ある?」⇒「やる目的ある?」
「買う価値はない」⇒「買う目的はない」
「生きる価値」⇒「生きる目的」



故に、目的について検討することは妥当と言える。



目的の性質としては、「最善」や「幸福」が挙げられる。
目的とは「~のため」であり、
アリストテレス『ニコマコス倫理学』に従えば、あらゆる行為は最高善、すなわち「幸福」に繋がるからである。




つまり、目的は人間の普遍的な欲求に基づくと言える。
ここでひとつ問う。
「希少性のある目的とは何か?」



この問いを見つめると、感覚としては無いように見える。
それは「非普遍的」な目的に近いと思われるからである。




幸福感、自己効力感、達成感とは「快」であり、心理的な「安定」である。
人は安定を好む。
それは、原子レベルでもそうである。



希少性とは、局在的、局所的、瞬間的である。
これは「不安定」を意味しないだろうか。



つまり、不安定を求めるような欲求は存在するのだろうか、ということである。
宇宙レベルで、エントロピー増大の法則に従っているのだと仮定すれば、



希少性 ≠ 目的


という帰結になり、結果的には、


希少性 ≠ 価値


という結論が得られる。

僕は希少性と価値はあまり関係ないように見える。
つづく