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読書日記と哲学がメインです(毎日更新)

読書日記1033

読んだ本

ハンナ・アーレント『責任と判断』ちくま学芸文庫 (2016)

円堂都司昭ディストピア・フィクション論:悪夢の現実と対峙する想像力』作品社 (2019)

つづきを読み進めた。

 

nainaiteiyan.hatenablog.com

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日記

 

本屋に入ると日経プレミアシリーズから『なぜ少子高齢化は止められないのか』という新書が棚に置かれていた。軽く立ち読みしたが内容は掴めなかった。

ありきたりな答えとして、日本の経済成長が低迷しているために財源が困窮、あっぷあっぷしている状態では国が出せる社会保障費にも余裕はなく、子供を生める状況にない人が増えたというものがある。

 

 

一周本屋をまわるとwinny事件について書かれた本が置いてあった。

どうやら著作権法がIT業界の足枷になっているようである。

個人的にも著作権法について書かれた本を読んだことがあるが、かなり複雑なもので途中で読むことを止めてしまった。

 

 

・・・

 

 

ある作家は日本の税金が高すぎることの不満をぶちまけ、「遊んでいないでお前たちも稼げ」といった、やや暴論めいた内容の本を書いている。

Youtubeではヘイトらしきショート動画がおすすめとしてピックアップされてくる。

 

 

「あいつが悪い」

「こいつが悪い」

 

本屋さんは怒りのはけ口ともなっている。

高額納税者のなかには一部ではあるが「年収○○○万円以下の市民は御荷物」と言い出す人もいる。

しかし批判の矛先はシステム( ≒ 法体系)に向かうべきではないか。

 

 

多額の税金を払いたくなければ海外へ移住するか、日本の税のシステムを変えるしかない。

日本にいたいから後者にならざるを得ないが、それは(政治に関わるのは)面倒くさいという理由だけで責任を市民に転嫁するのは筋としてはおかしい。

そのような人に限って投票に行っていなかったりしていないだろうか。

 

 

様々な社会問題は遡ればやはり憲法、民主主義、選挙システムなど、行政・司法・立法に帰結する。そうとしか思えなかった。

ということでハンナ・アーレント『責任と判断』をもう一度読み直そう、そのように考えた。

 

・・・

 

『責任と判断』は端的に長い。

500ページあるので一ヶ月以上はかかる。

今日は『ディストピア・フィクション論』の感想を少し書いてみたい。

 

 

つづきを読むと百田尚樹氏の『カエルの楽園』がジョージ・オーウェル『動物農園』のオマージュとして機能している点や、伊坂幸太郎氏の『魔王』について考察されていた。

 

 

日本の小説作品群を「無内容」だとバカにしている批評家や作家がなかにはいるが、この本を読むとひとりひとりが様々なことを考えて物語の創作に励んでいることが伝わる。

 

 

ユートピアが無い理由のひとつとして、生物学的に避けられない身体的、精神的特徴の多様性にあると思われた。

純化すれば社会を構成する全員が同じであれば不満のない社会になる。

しかし多細胞生物にはそれが許されていない。ゆえに格差は必然的に発生する。

自然の摂理は常に弱肉強食である。

つまり自然法則に抗うことがユートピアを支える原理になるということである。

それを考えると確かに不可能であることは分かるが、どこまで可能性を広げることができるのかということを考えるのは大事であるように思われた。

 

引き続き『責任と判断』を読み進めたい。

 

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関連図書

 

 

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