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藤野恵美『ギフテッド』光文社 (2022) 読了

藤野恵美『ギフテッド』光文社 (2022)

つづきを読み終えた。

 

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感想

(ネタバレなし)

 

・・・

 

あくまでフィクションということで、そのおかげで逆に主人公の家族に対して忌憚なく意見を述べることができるように思うので感想を書いていきたい。

 

 

主人公の妹は医者と結婚して3人の子供がいる。

長女、次女、末っ子の長男という構成であった。

長女は中学受験を控えているが、通っている塾と反りが合わずT大卒の主人公が家庭教師になり、一緒に志望校合格を目指すというあらすじである。

 

・・・

 

この小説には親のエゴというものがよく表れているように感じた。

「将来の可能性が広がるように」と娘に言い聞かせ私立中学に行かせようとするが、一方では長男が発達障がいかもしれないということを病的に心配しているように個人的にはみえた。

 

 

ここには「見栄」や「世間体」に対するある種の不安が隠れている。

「長男が発達障がいだったら外にいけない、、、」といった主旨のことを主人公の妹は語っていた。

 

 

ただ、気持ちは分からなくもない。

感情移入すれば理解できるものもある。

ただ、この小説の文脈上、「価値」というものが「社会的ステータス」に依存する構造となっていることにすぐに自分は気がついた。

「可能性を広げるため」といいつつも、親の人生全体に関する洞察力、大局観が足りないために、逆に「可能性を狭める⇒不自由」となっているのではないかと思われた。

 

 

この親はなんのために家庭というものを築いたのか、よく分からない小説であった。

 

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