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感想
(ネタバレなし)
読み方は人それぞれ、感想も人それぞれなので個人の思ったままに書き連ねる。
まず、モーム『月と六ペンス』のストルーヴェと主人公テレ―ズの夫ベルナール、この二人の男に共通点を見出した。
両者とも真面目で常識的、しかし不運という名の落とし穴にハマってしまったことである。
そして二人とも女性から辛辣な批判をくらっている。
・・・
自由と安定の等価交換。
本書は安定的な結婚生活を送ってはいたものの、退屈に潰された女性の物語であった。
わりと普遍的で、現代にも通ずるテーマであるように感じた。
ありきたりなことは書かないで、先ほど書いた不運な二人について感想を書きたい。
・・・
ベルナールにいたっては、「道幅に合わせて作られた男」と表現されてしまっている。
これがどういう意味なのかハッキリしかねるが、なにか皮肉な意味が込められていることは疑い無い。
テレ―ズが何を欲していたのかも想像次第である。
とりあえず、彼ら二人に共通する点は、彼女らの欲求に応える力量を持ち合わせていなかったということである。
ストルーヴェもどこか視野狭窄な面があったように思う。
『テレ―ズ・デスケルウ』は日々の鬱憤が爆発してしまった物語だと思われる。
余談ではあるが三島由紀夫は『戦後日記』においてモーリアックを高く評価している。
気になるかたはご拝読を。
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