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サマセット・モーム『月と六ペンス』新潮文庫 (2014) 読了

引用元:版元ドットコム

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感想

 

(ネタバレなし)

 

 

芸術への関心と執行草舟氏の影響から本書を手に取った。

昨日購入し、本日の夜、ちょうど先ほど読み終えた。

最後にあとがきを読んで納得した。次のページを開きたくなるような構成でありながらも、人間に対する深い理解がなければこのような物語は書けないように感じさせる、壮大な人間ドラマでもあった。

ところどころ身に沁みるフレーズはメモを取りたくなるくらいであったが、いっきに読み通したかった為その作業は省くことにした。

 

 

・・・

 

この本はつまらない、楽しい、という言葉で片付けることはできない。

仮につまらないという感想しか抱くことができなければ、それはその人が無内容でつまらない人物だということを裏付けるとしか思えない。

 

 

40過ぎていきなり絵を描きたいと言い、家庭を突き放したストリックランドには幾分か謎めいた部分があるが、最後まで読み通したことによってある程度理解できるものがあった。

 

 

モームが「なりたい姿になるのではなく、なるべき姿になる」と言わせた箇所が印象的であった。

前者は世俗的な物であって、後者は恐らくそうではない。

これはひとつの問いかけである。

ここにヒューマニズムの観点を挿入すれば、豊かに生きているだけで幸せだという価値観へのアンチテーゼとして、ストリックランドの人生と対比させようとモームが意図して書いたのかもしれないと思わせられた。

 

 

 

ヒュームが事実から価値「ーすべし」を規定できないと考えたように、私も「こうすれば貴方もこうなる」という世俗的な事実につられて「では私はそうするべし」と考えるのは安易であると考える。

岡本太郎に言わせれば、功利的に生きるなというメッセージである。

事実から価値への飛躍を阻止せよ。

 

 

文学には人生が詰まっていると執行草舟氏が書いていたことが少し理解できたように思う。

 

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