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読書日記351

本隆明『読書の方法:なにを、どう読むか』光文社文庫(2007年)を読む。

読書は一期一会。

普段あまり行かない光文社文庫のコーナーに行くと本書を発見。

日本を代表する思想家の読書論となると、これは読みたいと思った。

 

 

 

読み始めるといきなり、読書は何にも役に立たないと書いておきながらも、仕事上読まざるを得ない日々が続いたことが読み手に伝わってくる。

楽しく読書ができたのは30代までだったと書いている。

読むことを生業にする人間の生々しい想いが伝わってくる。

 

 

本は一度文庫化されると廉価で手に入る。故に、交換価値が下がる。しかし、文庫化されるということは、それだけその本に価値があることの証しでもある。

吉本隆明はこのパラドックスに打ちのめされる。

一度持っていた本を全て売り払う。

そして書き手となった吉本隆明は消費者の目線に窮する。

 

 

それに対する皮肉かどうかは分からないが、石原慎太郎と同様に、吉本隆明も現代の小説に「ひどい」「読み終わっても何も残らない」と批判する。

しかしながら、商業的に価値のある小説とはそういうものだ。

 

 

 

出版業界が抱えるジレンマはおそらくこの一点に凝縮される。

価値のある本に価値がなく、価値のない本に価値がある。

そして吉本隆明は後期資本主義の突破口を「贈与論」に見出す。

 

 

つづく