この本はこれからの人生に少なからず影響を与えるだろう。
本書は、人は前提を見誤ると、そこから導き出される結論が大きくズレていってしまうことを教えてくれる。
ただ、人間の心理と真理はまだまだ見えないのが現状である。
前提を疑うこと、信じること、この反復が大事であると感じる。
『利己的な遺伝子』の考え方で物事をみていくと、マクロで物事を考えるときに、人は個人の利益を最優先するという前提になる。
しかしながら、厳密にはそうはなっていないことがのちにわかった。
アマルティア・センが緻密に計算し、人間の経済行動に関して「合理的な愚か者」と言った。
これは矛盾ではないだろうか。
前提がズレていないか。
結局は、経済学は行動経済学という分野に委ねられることになった。
つまりは、前提を見誤った古典経済学の失敗である。
心理学にも欠損はあるかもしれない。
本書では行動主義を痛烈に批判している。
まだまだ検討の余地はあるだろう。
僕も検証していきたい。
本書では、人は本来、個人として、つまりミクロ的には善良である可能性が高いことが示唆された。
しかしながら、マクロではそうなっていないメカニズムが詳しく言及されていなかった。
本書ではルソー等が例にあげられたが、ハンナ・アーレントについては言及されていなかった。
彼女は『全体主義の起源』や『人間の条件』などで知られる、ユダヤ系の哲学者ではあるが、僕の記憶ではルソーと似たようなことを言っていた。
彼女はマクロ的に社会と悪を研究した。
ものすごく重要な仕事をしたと思われるのであるが、何故日本では認知度がこうも少ないのだろうか。
とはいえ、マクロ的なことに関してはまだまだ研究が足りていないように僕は見える。
であるので、今後はもっとマクロ的なことにも注視していきたい。
つづく