本日、いっきに読み終えた。
第二段階の「アパシー(無気力)」から第三段階の「解放」へと完了する時に、フランクルは危機を感じる。
端的に言えば「怒り」に変わる。
最後まで希望を持たなかった者が生き残ったというのは有名な話である。
しかし、本書によれば突発的に希望が消える可能性は常にあったとされる。
その根拠として、1945年の3月に戦争が終わるという「正夢」を観た者が、結局終わることが無いと悟り、希望と同時にウイルスの抵抗力も失い、3月31日にチフスによって亡くなったというエピソードが紹介された。
突破的に希望が失われていくのと同じように、生き残った者にも「怒り」が突如としてあふれでてくることの危険性についてフランクルは書き残した。
ただ解放されただけでは本当の「精神の自由」は手にできない。
だからこそ、フランクルはそんな人たちを救うための研究を「使命」とした。
他にも、スピノザ『エチカ』による示唆に富む話や、今日の「ポジティブ心理学」に通ずるエピソードが紹介される。
最も印象的だったことは「生きる意味」のコペルニクス的転回であった。
生きる意味を問うのではなく、人生が私たちに何を与えるのか問うのではなく、人生が私たちに何を期待しているのか問う。
前へ進むことによって何がわたしたちに期待されているのかを問う。
問いつづける。
僕も問いつづける。
つづく