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読書日記230

内進之介『善意という暴力』幻冬舎新書(2019年)を読む。

社会心理学の視点から正義やバッシング等について書かれた本である。

興味を持ち読む。

 

 

ポール・ブルームは著書『反共感論』において、共感を道徳心の指針としてはならないと書いた。人間には「スポットライト効果」があることによって、共感の対象が偏ってしまう。例えば、ガン患者がいたとして、支援者はクラウドファンディングを試みるとする。この場合、患者は中年の男性より幼い女の子であった場合のほうが資金が集まりやすくなるかもしれない。「可哀想」と人が思うかどうかで道徳が揺らぐ。

 

 

また、現代文の試験では度々「主人公の気持ちとして適切なものを選びなさい」といった問題が出る。

著書によれば、テストはあくまで客観的に答えが存在するが現実はそうではないとされる。つまり、感情の同定は容易ではなく、「共感」もまた実態を捉えきれていない可能性があり曖昧な力学が働く。

 

 

日本には表現の自由、信仰の自由、思想の自由等がある。

「~であるべき」

という正しい規範 (≒道徳) は何によって決まるか。

意外と難しいと思わされた。

 

 

つづく